2006年09月15日

ミクシィ上場

入院ネタを気まぐれにアップしていたら、また入院したのかと心配してくださった方がいらっしゃいまして。
入院したのは6月です。
今は全然ピンピンしております。
心配をかけてしまいましてスミマセン。


とうわけで、本題。

僕がよく覗いているブログの筆者さんが、ミクシィの社外監査役をしておられまして、記事が出ていましたのでトラックバックさせていただきました。
http://www.tez.com/blog/archives/000756.html

昨日上場、今日初値ついて、大引け312万円、いきなり時価総額2200億円ですか・・・。
自分で価値評価してないので、株価については何にも言えませんが。
社長会見にちょいとツッコミを入れたくなりまして。
別に批判が目的ではありません。
あくまで実例によるファイナンスの啓蒙活動です。


とりあえず会見の記事から。

 [東京 14日 ロイター] ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)最大手で東証マザーズに14日新規上場したミクシィ<2121.T>の笠原健治社長は、東京証券取引所で会見し、今後は業務提携や資本提携、場合によってはM&Aもありうるとの見方を示した。また、配当政策については毎年の業績を勘案しながらいずれ行っていくと述べるとともに、将来は株式分割を考える必要が出てくるかもしれないと語った。
 投資家からの注目が高かった同社株は上場初日は値がつかず、売り出し価格の2.3倍に当たる315万円の買い気配で終わった。
 笠原社長は、他社との業務提携や資本提携に関して「本業を伸ばすためのM&Aも場合によってありうると思う」と述べ、先行するサービスや自社にない技術を補うためにM&Aを行う可能性はあるとの考えを示した。上場したことで逆に買収されるリスクも出てくるが、現時点では「買収防衛策は考えていない」という。そのうえで「クオリティや業績を上げて株価を上げることの優先順位が高い」と語った。
 一方、配当については「各事業年度を考えながらいずれ行っていく。まずはサービスを強化し、株価の向上をもって(株主に)還元したい」と述べ、毎年の業績と照らし合わせて行う考えを示した。さらに株式分割について「投資家にとって買いやすい値段帯での分割というのは、将来的には考えていく必要が出てくるかもしれない」とした。
 同社が今回の上場で調達する資金は64億円。そのうち10億円をサーバーなどへの設備投資や人材の強化に、3億円を事業所の拡充などに振り向ける。笠原社長は「今後、SNSという枠を超えて大手ネット系の企業と競争していくことになると考えている。開発や企画、営業など人材を強化していく必要がある」と述べた。残りは当面、銀行預金に回すが「積極的に事業展開するので、機会がくれば(残りの資金を)使う可能性はある」(小割洋一取締役)という。
<SNSシェア86%の高さが強み>
 ミクシィは、既存会員からの招待を受けて会員登録し、インターネット上で交流の場を持つSNS運営会社の最大手。笠原社長が大学在学中の97年に起業し、ITベンチャー企業向け求人サイト「Find Job!」を手がけてきた。99年に法人化し、04年2月にSNS「mixi(ミクシィ)」も開始。日記など情報交換機能のきめ細かさが人気を呼び、今年7月末には会員数が500万人を突破した。9月14日現在の会員数は570万人で、SNS業界でのシェアはおよそ86%に達する。07年3月末には約860万人の会員を想定している。
 また、ミクシィはユーザーの利用時間が他のサイトを大きく上回る。ホームページの視聴率を調査するネットレイティングス(東京都渋谷区)によると、8月のユーザー1人あたりの月間利用時間は3時間55分で、ヤフー<4689.T>よりも41分、楽天<4755.Q>よりも3時間07分多かった。
 会員数の増加と広告料収入の拡大を追い風に、ミクシィが公表した07年3月期の業績予想は、売上高47億8900万円(06年3月期比約2.5倍)、経常利益17億1900万円(同88%増)、純利益9億8600万円(同71%増)になるとしている。
 直近の決算にあたる06年4─6月期は、売上高8億8100万円、経常利益4億5200万円、純利益2億6300万円だった。売上高の63%はSNSサイト「mixi」のインターネットメディア事業が占め、残りを「Find Job!」のインターネット求人広告事業が占めるなど、「mixi」の急伸ぶりが目立っている。 
 ただ、SNSは今後、競争激化が予想される。昨年末には韓国で3人に1人が利用するSNS「サイワールド」が日本に進出。今年7月末にはヤフー<4689.T>もSNS「ヤフー・デイズ」を本格的に開始した。グリー(東京都港区)も7月末にKDDI<9433.T>と資本提携し、携帯電話を使ったSNSの強化を図っている。
 それでも、ユーザーが多くの出会いを求めるSNSは、会員の規模が大きいほど利用者が集まりやすいともいえる。笠原社長は「シェアの高さがさらに強みとして生きてくる」と自信をみせる。新たなサービスの可能性にも言及し「SNSと親和性の高い収益モデルの創出を目指す。オークションやフリーマーケットなどが念頭にある。音楽などデジタルコンテンツの販売も考えられる」と今後の展開について述べた。
 (ロイター) - 9月14日20時2分更新




えーっと、記者が聞いたから答えた、というのが実情かもしれませんが、
まずIPOの会見で、配当の予定について言及するのはどうかと。
IPOは資金を調達するためのものであり、配当はキャッシュアウトなので、全く正反対のオペレーション。
これから成長しようとする企業が、「各事業年度を考えながらいずれ行っていく。」なんて答えてはいけません。
「成長段階なので、当分、配当はしません」というのが正解。
もしくは、記者がそういう質問をしたのなら、
「IPO直後の企業にバカな質問をするのは止めてください」というのが正解。

あるいは、使い途がないことをすでに見越しての発言?(笑)
事業面で金の使い途がない場合は、配当を厚くして株主にお金を返す(他に運用するチャンスを与える)のが筋ですが、IPOしたばっかりの企業がそんなこと考えてはいけません。



関連してですが、64億円調達して、当面、ほとんどが銀行預金行きとのこと。
うーん、IPOの目的として、資金調達と知名度アップの二つの目的があるのですが、たとえ後者が主だとしても・・・。

本来は、「こういうビジョンを描いていて、その事業展開には資金が必要なんで、お金を調達させてください」ってのが筋なんですが、「M&A」「業務提携」「資本提携」って、曖昧な言葉を並べられても・・・。
イヤ別に、これらの「手法」を否定するわけではありません。
しかし、これらはあくまで「手段」ですから、事業の方向性とは別の話です。
で、事業の方向性は、というと特に説明がないような・・・。
今の延長上ならば、そんなに金もいらないわけでして。


それから、株式分割については、言及する必要なんかないんです。
「投資家にとって買いやすい値段帯での分割というのは、将来的には考えていく必要が出てくるかもしれない」
こんなのは当たり前の話です。

株式分割というのは、単なる両替もしくはデノミであって、経済的に何か価値を生み出す行為でもなんでもないわけです。
単位あたりの値段が高くなりすぎると、買いたくても買えない人がいるので、最低取引単位を1万円から1000円に引き下げます、ということです。
1万円札1枚を1000円札10枚にしますってことです。
だから、株式分割するかしないかなんて、どうでもいい話なんです。
もし記者にそんな質問をされたのなら、
「そんなどうでもいい質問に答える無駄な時間はありません」と言っておけばいいわけです。

これ、ほんとに記者からの質問だとしたら、こんな記者は出入り禁止でいいと思います。

とりあえず、こんなところで。


PS.繰り返しますが、批判しているわけではありません。
あくまでメディアを通しての記事をピックアップしたわけですので。
いや、質問した記者は批判してるな。(笑)
ファイナンス的に見て、ツッコミどころ満載だったもので、ネタとして使えるな、と。
事業については、とりあえず、
投下資本がいらない
ネットワーク効果が効く
など、いい特徴を持っていると思います。
色々な可能性がありそうですよね。
ただ、だからといって「買い」という意味ではないですよ。

2006年08月30日

王子製紙&野村証券さんは、ゲーム論的シミュレーションが甘かった?

正式にお手上げ宣言ですね。

ちなみに、昨日書いた「ファイナンス的説明」の話、簡単に言えば、
買収というオペレーションによる投下資本利益率(ROIC)が、王子製紙の資金調達後の加重平均資本コスト(WACC)を上回る限り、
この買収は王子製紙の企業価値を高める、ということです。

もっときちんと計算するなら、買収による北越分のキャッシュの増分+シナジー効果が、買収にかかるコスト+買収に伴う資金調達及びリスク認識変化にともなう資本コストの変化をこなして、尚且つプラスになるのならば、この買収は王子にとって成功なわけです。

なので王子としては、その範囲において、ローンを増やすか株で調達するかして、買収資金を増やし、TOB価格を高めることができるわけです。
(すみません、もう計算する気力が・・・)



ところで、王子側は、北越経営陣の抵抗については、想定してなかったんですかね?
合理的提案をすれば、受け入れられる、と?

確かに、今回の買収提案は、情報開示しながら正々堂々、ぱっと見合理的な提案をしてます。
それについては評価されるべきだと思います。
が、第三者割り当てなんかは当然想定されたわけで、むしろ600円+αぽっきりで第三者割り当てなんかしちゃって、北越はどうやって株主に説明するのか、あるいは、裁判まで持っていってよかったんでは?
三菱さんも、なんとか銀行さんも、株主さんにどう説明するのか?
北越さんのいう「自主独立経営」による企業価値創造も、つっこみどころ満載だったわけで。
もしくは、許容限度の範囲内でTOB価格を徐々に引き上げるという手もあったわけで。
(いや、僕は計算してないんで800円が限度なのかもしれないけど。でも800円が限度なら、それはそれでリスキーな買収提案だったわけで。)

自分がこう行動したら、相手がこう来て、そしたら自分はこうして・・・っていうような、次善策を次々に用意して、なおかつ合理的である、っていうんならTOBを仕掛ける、というような、ゲーム論的な感覚が、特にこういうTOB的なオペレーションをする場合、不可欠だと思うのですが。

結局、この程度で引き下がって企業価値創造のために自分で設備投資します、っていうんなら、はじめからTOBしたときの企業価値創造の想定が実は過大だった?、なんてうがった見方を、周囲に与えかねませんね。


ちなみに、僕はTOB応援派というわけではありません。
TOBの難しさについての経済学的な説明については、06年8月11日付「時価総額のワナと買収プレミアム」をご参照ください。

2006年08月29日

王子製紙、give up?

王子、あきらめちゃったっぽいですね。

この件に関して(というか数ある買収劇やTOBに関して)、きちんと説明した記事を見たことがないので、実際の数字を使って、ファイナンス的にこの買収劇の説明をしてみようかなと思ったんですが。

どういう条件なら、企業価値を高められるか(あるいは毀損する)、とか。
ブリッジローン、どこまで増やして、どこまでTOB価格上げられるか、とか。

ちなみに、色々資料を見てみたんですが、買収原資となるはずの野村からのブリッジローンの条件を見つけることが出来ませんでした。
利率とか、まだ決まってなかったんですか?
それとも僕の見落としですかね?
タグ:買収 TOB

2006年08月11日

時価総額のワナと買収プレミアム

王子製紙による北越製紙へのTOB(株式公開買い付け)、AOKIホールディングスによるフタタへのTOBと、最近TOBがはやっていますね。

でも、TOBってなかなか難しいですね。
うまくいったとしても、買収価格が高くなりすぎると、その後、支払った価格以上の価値を生むか疑わしい。



東洋経済6/10号にディミトリ・リティシェフ氏による「企業価値をめぐる混乱 −時価総額の落とし穴」との記事が載っていましたが、これが目からウロコ。
時価総額への疑念として、その記事は書かれていましたが、買収プレミアムの説明が上手になされています。



モノやサービスの取引と同じように、株価も需給で決まります(図1)。
図解するとわかりやすいので。


TOB1.bmp
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さて、ここで、この企業を買収しようとする。
話を簡単にするため、発行済株式数を全て取得したいとする。

時価総額は、図2で言えば、黄色の四角部分ですね。
発行済株式数 × 現在の市場株価
ですから。

だけど、実際に発行済株式数全てを取得しようとすると、現在の市場価格では売りたくない人たちから株を取得しなければならないので、市場株価以上の価格を払わなければならない。

つまり、図2で言えば、ブルーの三角部分、時価総額よりも余計に支払わなければならない。

ここまでが、ディミトリ・リティシェフ氏による買収プレミアムの説明。


TOB2.bmp
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氏曰く、「時価総額より〜億円余計に支払った」なんて説明は意味がない、供給曲線が右肩上がりなんだからプレミアムは支払って当然なのだ。
プレミアム部分は、供給曲線の傾きに依存するんだから、時価総額が安いからと言って安く買えると思うなよ!
という説明。

至極納得です。
確かに、その価格では市場に出てこない部分にまで、市場価格を適用する「時価総額」という考え方には、大いに疑問が残ります。
激しく同意。



しかし、ここで疑問が。
本当にプレミアム部分はブルーの三角部分で済むんですかね?

例えば、TOBの場合、TOB価格を先に提示します。
そうすると、このTOB価格に応じる売り手は、「実際はもっと安くても売ろうと思っていたんだけど、ラッキー!」って人たちが含まれます。

つまり、実際に払うプレミアムは、図3のグリーンの四角部分になるわけでして、本来払えばよかった先ほどの図2ブルー三角部分以上の出費を余儀なくされる、というわけです。


TOB3.bmp
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黙って市場で買い進めていれば、図2ブルー三角で済むのですが、支配目的とする場合はTOBのルールに沿わなければならず、結果として図3グリーン四角を払わなければならない。


しかも、親会社や協力会社が非流通株を持つ場合、経済合理的な価格に応じて手放してくれるわけではないので、その部分については供給曲線が垂直に近い形になる(図4)。
本来なら、こうした親会社や協力会社の株主が合理的判断をすればいいわけですが、日本ではそこまでの土壌がない。

というわけで、TOBで支払うプレムアム部分は、図4のようにでっかくなっちゃった!ということになるわけですね。

こりゃ大変だ。


TOB4.bmp
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2006年08月03日

亀田興毅の企業価値をDCFモデル的に考えてみる

(亀田ネタ2連発。暇ではないです。)

企業の価値は、その企業が稼ぎ出す将来キャッシュフローの期待値と、それを現在価値に割り引く割引率、に依存します。
(厳密に言えば、その時点で持っている非事業用資産も)
(お分かりでない方は、カテゴリ「企業価値評価(株式投資)入門」をご参照ください。)



これ、個人にも理論的には適用できますよね。

というわけで、亀田興毅。
ボクサー引退後については、あのキャラクターだし、それにかなり先のことなので昨日の試合には依存しないとして、ボクサーとしての価値はどうなったか。

昨日の試合は、まるで業績下方修正を発表した企業のよう。
増益増益を続けてきたベンチャー企業が、突如として、減益を発表。
それまでの成長期待が、昨日のダウンと終盤のへろへろ感で修正を余儀なくされた。
投資家が想定していた期待キャッシュフローは、下方に修正。

さらに、思ったほど安定性がない、ってことで、妥当割引率も上方にシフトせざるを得ない。

亀田ブランドも、「疑惑の判定」で今後どのように受け止められるか。
不確実性も増し、これも割引率上昇要因。


ということで、二重の意味で、企業価値を低めた亀田興毅。

なんだか最近は、過去の対戦相手についても、粉飾決算の疑いがあるとの話もチラホラ。


彼にベンチャー企業の成長神話を抱いていた他局もアメリカのプロモーターも、ちょっと二の足を踏みたくなる。


もう一度企業価値を高めるには、強い相手にもっといい試合をして実際に業績を出せることを証明し、なおかつ、それを何試合か続けて対戦相手のスタイルに影響されない安定性をアピールすることで、割引率を下げないといけません。


ちなみに、僕は、亀田興毅のことをキライではありません。(ファンでもないけど)
いいボクサーだと思います。
純粋にがんばって欲しいと思います。
あのガードのまま、上体を柔軟に使えれば、もっと強くなると思います。
おい、シロートが言うなよ、って思うかもしれませんが、実は恥ずかしながら、昔ちょっとだけボクシングをかじったことがあります。
ま、シロート同然ですね。

2006年07月27日

買い増し

僕の持っている銘柄が、業績の下方修正で大きく値を下げた。
そこで、僕はもう一度この企業の価値評価をすることにした。

マクロ環境を調べた。
特別いいわけではないが、むちゃくちゃ悲観するほどでもない。
しばらく在庫調整を経験するかもしれないが、そう長引かないだろう。

足下、業績が悪化した原因を調べた。
売れ筋製品の価格低下だった。
それから研究開発費にお金を投じていることも今期利益圧縮の原因だった。
研究開発費は、将来的に高付加価値製品を投入するための先行投資であり、それが実現すれば、製品ミックスの改善から平均価格低下も抑えられるだろう。
この企業の技術力への信頼性は高い。
新製品投入の分野もすでに見定めている。

それに、何といってもこれまでの経営がよく行なわれている実績がある。
経営体制に変わりはない。
長期的にキャッシュを生む工夫が出来る経営。

割引率は、こんなもんで妥当だろう。


以上をもとに、実際に価値計算をしてみた。
今の株価はネガティブニュースにびっくりして、かなり低成長しか織り込んでいないことが分かった。
僕の価値評価では割安だと判断できる。

僕はこの銘柄をせっせと買い増した。

2006年05月09日

株は長期では楽勝な投資である

別に株式投資をアジテートしたい訳ではない。
むしろ、きちんとしたファイナンシャル・リテラシーを持ち合わせていない人は株式投資をしないほうがいいと、僕は思っている。

それでも、株は長期では楽勝な投資である、と声を大にして言いたい。
これは、株が長期ではプラスサムである(06年5月8日付 「株式投資講座A 〜株式市場とギャンブルの違い」)、ということのもうひとつのインプリケーション。
ここで、簡単な思考実験をしてみる。
株主に還元されるお金は、企業が付加価値を創造した結果の配分である。
例えば、日本の長期的な経済成長率が名目でざっくりと3%としよう。
これは、日本全体で平均的に継続して+3%の付加価値を生み出していくということ。
企業の生み出す付加価値が平均的にこれと同程度の伸びを示すと考えれば、企業の生み出す付加価値は、もともとの資金の出し手に毎年+3%のリターンで配分されて然るべきである(実際お金が支払われるかどうかは別として)。

ところで、もともとの資金の出し手には、株主だけでなく、銀行や債券保有者のような債権者もいる。
株に比べれば、負債はリスクが低いので(倒産しない限り毎年のリターンは決まっている)、当然債権のリターンは平均して3%よりも低いレベルになり、一方で、株は平均3%よりも高いリターンがあって当然ということになる(株価が現在適正水準にある場合)。

つまり、価格変動リスクを無視できるほど(つまり緊急に売る必要がなくて、上がったときに売れる)、長期スタンスで株に投資できるなら、株式投資は実においしいということがわかるわけです。
ちなみに、いわゆるDCFモデルでの割引率を考えるとき、株式マーケット全体の期待収益率は5-7%程度と設定するのが一般的ですかね。
つまり、マーケット全体の株価が現在適正水準にあるなら、長期的なリターンは年率5-7%と考えるのが普通というわけです。

市場全体平均で年率5-7%の期待収益率というとき、その中には当然高いリターンを得られる企業と低いリターン(損失も含めて)しか得られない企業があるわけです。そのため、より高いリターンを得られる銘柄を選別する目、投資のノウハウを持っていれば、それだけ株式投資は楽勝になっていくわけです。
(何度も言うようですが、きちんとしたファイナンシャル・リテラシーを持ち合わせていない人は株式投資をしないほうがいいと、僕は思っています。)

ということで、ファイナンス知識を広める活動を、この「ファイナンス」のカテゴリーで少しずつでもいいから進めて行きたいと思っているわけです。


ちなみに、皆さん大好きな国債。
(え?国債買ってない?いやいや、皆さんの大好きな銀行預金経由で、大量に銀行が購入してますって。)
基本的に、これは国の借金の証書であるからして、国が「何か」をするために資金調達をしているということ。
で、「何か」って?
国がやる「何か」は、ミクロ経済学で言うところの「市場の失敗」が起こる分野でない限り、リターンの低くなる分野が多いわけです。
だって、市場の失敗がない分野で、リターンが高いなら、民間がやりますって。
国債への投資のリターンは、ロジカルに考えれば、長い目で見ればこの「何か」からのリターンで賄われるわけでございまして、これほど国債に偏った投資が行われて、皆さんの大事な資金のリターンが高くなるはずはありません、はい。
(もちろん、国債の発行や投資そのものを否定してるわけではありません。投資対象のバランスの問題です。)

2006年03月31日

手段が完全に間違っている。

経済教育のために、小学生に株式シミュレーション・ゲームだって。
これ、ほんとに正しい教育だと思ってやってるのだろうか。

ちゃんと価値算定した上での投資シミュレーションならいいが、単なる株式ゲームを教えているなら、そりゃマネーゲームを教えているにすぎない。
それこそ、金の亡者を作り出す最悪の教育プログラム。
人生ゲームやってるほうが、社会の厳しさを知れてまだましだよ。

日本人のファイナンシャル・リテラシーが低いというのは、確かにそうだと思う。そうでなければ、自分の資産のほとんどを超低金利の銀行預金に回す、なんてこと起こりっこない。
自分だって経済学部に行かなければ、証券アナリストになっていなければ、経済や投資について今ほどの知識を持っていたか、あやしい。

日本人は経済リテラシーが低いから、金融のプロに騙される。
株式投資をしてはプロの投資家から搾取されるし、保険会社の「10年後40万円バック」との言葉に騙されるし、証券会社の回転売買のネタになるし、銀行に利ざやを持っていかれる。
せっかく汗水たらして稼いだ金を、金融のプロに搾取される。
金融マンの給料がなんであんなに高いのか考えてみればいい。

日本人の経済リテラシーを上げるために教育を!という目的自体は間違っていない。
ただ、その手段がいきなり株式投資シミュレーション?

まずは、買い物シミュレーションとか、企業シミュレーションとか、そういった根本的な経済活動を教えるほうが先でしょ。
経済活動とは何ぞや?を学んだ上で、経済活動の中での株式市場の役割、株式投資に必要な価値算定の方法、などを学び、じゃあ最終的に投資をやってみましょう、ってのが順番でないの?

教育プログラムを作る側が、経済のことをわかっていないのがアリアリ。
まず、あなた方が経済教育を受けるべきですな。