2008年04月12日

前田高行「アラブの大富豪」

証券業界にいると、「どこそこの王族が・・・」という話を聞く。
僕も前職のとき、ちょくちょく彼らの話を耳にした。
莫大な資産を持つ彼らは、超優良顧客だからだ。
ただ、今ほど彼らの存在感が世界の金融市場で大きくなった時期もないだろう。
単なる優良顧客から、主役に躍り出つつある。

仕事と興味、半々で読んだ本。もちろん、王族はアラブだけじゃないけれど、彼らが今やキープレーヤーであることは間違いない。

とかく僕たちは「アラブ」を一括りにしがちだが、それが全くの間違いであることを教えてくれる。
例えば、「オイル・マネー」で括りたがるが、今話題のドバイでは、実は原油が採れない。
じゃあ、ドバイはどうやってのし上がってきたのか、それは本書を読んでのお楽しみ。
例えば、「中東の王族=大富豪」で括りたがるが、ヨルダンは、実は超貧乏国。
なのに、なぜヨルダンは政治の舞台で重要な役割を担うのか、それは本書を読んでのお楽しみ。

「中東」の中でも、その経済的地位によって、役割の違い、というか、差別、があるということも、本書を読めばよく分かる。欧米との黒いつき合いも、垣間見られる。今をときめくアルワリード王子が、実は「亜流」であることも。

新書にありがちな「表層をさらう消化不良感」は、本書も完全に拭い切れてはいないが(僕だけ?)、かの地を一括りに考えている人には、ぜひ一読をおススメしたい本。



2008年03月03日

ここが変だよ、牧野洋「不思議の国のM&A」


ここが変だよ、日本のM&A、の本。
いやこれ、笑いごとじゃない。
M&Aでおかしな歪みがあることは、日本経済にとって非常にまずい。
日本経済へのファイナンスがまともにされないってことなので。
例えば、日本では買収価格が曖昧なのに買収だけが決まることがあるが、普通の買い物ではありえない。
買い物をするかどうか、金を出す人はまだ決めていないのに、おつかいを頼まれた人が値段も聞かずに買い物しちゃったようなもの。
どれだけ株主を軽視しているんだ。
個人的に一番はっとしたのは、日本ではスピンオフの際に資産の保有形態が変わらないのに課税される、という点。買収と両輪のスピンオフだが、制度的にはこちらのほうが、まずい状況になっている。

ただ、この本、ジャーナリスティックで非常にいい本なのだが、いくつか疑問点もある。
いくつか書評を読んだが(池田信夫blog:不思議の国のM&Aisologue:書評:「不思議の国のM&A」)、あまり指摘されていないようので、以下列挙したいと思う。僕の勘違いの場合は、皆さんぜひツッコミをお願いします。


●シナジー無視すれば30兆+4兆=34兆? P18
喩え話として、ファイザーが武田を買収する例が出てくる。その数値例で、シナジー効果を無視して考えるとファイザーの時価総額30兆円+武田の時価総額4兆円で、買収後の時価総額は34兆円になる、としている。
しかし、シナジーを無視したとしても残念ながら話はそう単純ではない。
買収資金の調達をどうするかで、全く結果は変わる。
内部留保した自己資金を使う場合、別の資産を売って買収資金を作る場合、株式交換用に新たにエクイティーファイナンスする場合、借入で調達する場合、それぞれで企業価値に与えるインパクトは異なる。


●ディスカウントTOBは常におかしいか? p207
TOB価格は一般的に、市場価格に対してプレミアムが付く。経営権の獲得という価値を得る分、プレミアムが付くということだ。なので、本著では、ディスカウントTOBは理にかなわない、という論調だが、そうとも言い切れない場合がある。主要な株主がディスカウントしてでも経営権を手放したいときだ。
大量保有しているため、市場で売ってしまうと、株価が下落してしまう場合、ディスカウントしたTOB価格の方が、市場価格で売るよりも値段が高いということは可能性としてありえる。本著の例では、コマツが6割以上を持つコマツ電子の株式を、ディスカウントでSUMCOに売却した例が批判的に書かれているが、もしもコマツがコマツ電子を保有し続けることで、企業価値を破壊すると判断したならば、コマツ電子株を手放したいだろう。その際に、6割保有のコマツが売ったら、その売値が、SUMCOの提示したディスカウントTOB価格に届かない、と判断したならば、ディスカウントとはいえTOBに応じた判断は合理的だと言うことになる。
経営権には無条件にプレミアムが付く、と考えるのは疑問。


●子会社株式の値上がりは親会社の利益で親会社株主の利益ではない? P264
NTTが、NTTデータやドコモの事業をスピンオフ&株式割当ではなく、NTTグループとして子会社の上場をしたことで、上場益に課税されてしまった例が出てくる。
が、ここで、本著は間違いを犯している。P264「親会社が引き続き保有している株については値上がりすれば親会社の利益になる。しかし、親会社が法人として得る利益であって、親会社の株主が直接的に受け取る利益ではない。」と書いてあるが、これは意味不明。
「親会社が法人として得る利益」とは何ぞや?親会社が得た利益は当然、親会社の株主の利益である。本質的な問題点は、課税でキャッシュアウトしたために株主価値を毀損したことであって、子会社株の上昇は親会社の株主の利益以外のなにものでもない。



以下、大変参考になった点を備忘としてメモ。

●スピンオフではなく子会社上場することのの弊害 〜AT&TとNTTの比較

1984年 元AT&T:600億ドル

2005年1月末 元AT&T合計で2600億ドル
(AT&T:160億円、ベライゾン:990億円、SBC:820億円、ベルサウス:480億円、ルーセント:140億円、NCR:70億円)

1984年時点、元AT&T分割時に、株主はベビーベル7社の新株を割り当てられていた。スピンオフにともなう取引は、「無税」(これが肝!)。
そのため分割時に割り当てられた株をそのまま保有し続ければ、単純に考えれば4倍以上に値上がりしていたことになる。


1987年 元NTT:19兆円

2005年1月末 元NTT:17兆円
(NTT 6.7兆円、NTTドコモ:8.9兆円、NTTデータ:1兆円、NT都市開発:3000億円)

1987年の第1次売り出し時点から保有している株主は、19兆円が6.7兆円になっている。スピンオフで新株の割り当てをせず、子会社上場をしたため。上場時点の売却益に課税。これは株主価値の毀損。



●スピンオフが日本では使えない
ではスピンオフがOKか、といえば、日本の場合、税制が大きな障害になっている。
スピンオフは、スピンオフ後の企業の株を株主が直接保有することになるだけで、富の保有という意味では実質的に変化はない。にもかかわらず、日本では課税されてしまうので、M&Aの対極としてのスピンオフは全く使えないものになっている。

例1 BTによる携帯電話部門mmO2のスピンオフ時の問題
海外市場でBT株を購入した人は無税。しかし、日本市場で購入していた人は、新しいmmO2株を旧BT株と交換する形で割り当てられ、配当として新BT株を割り当てられた。この新BT株部分がみなし配当として課税された。
日本で無税になるのは「適格分割」(分割後も同じグループとして経営されているような分割)。スピンオフのように資本関係を断ち切る場合は課税されてしまう。

例2 中外製薬によるジェン・プローブのスピンオフ時の問題
中外がロシュ傘下に入る際に、独禁法の関係でジェン・プローブをスピンオフするため、中外の株主へジェン・プローブ株を無償割り当て、米ナスダックへ上場させた。中外はジェン・プローブを売却したとみなされ、みなし譲渡益に対して法人税を払わされ、かつ、無償交付された株主は、みなし配当として課税された。

2007年12月17日

ベンチャー投資は債券と株式で割引率変わらず?

ベンチャー投資は不確実性が高すぎるから、株式だろうが債券だろうが割引率はそんなに変わらない、と言われて、一瞬おもろい指摘だなと思いましたが、キャッシュの回収構造が違うので、やっぱり違います。

2007年12月07日

映画の資金調達にみる金融の層

ちょっと古いネタで恐縮ですが。
渋澤さんのブログで以前に紹介されていますが、日本の映画が洋画になるようです。
どういうことかと言いますと、「1303号室」という日本人の原作、主演、監督、プロデューサー、製作であるホラー映画が、アメリカの映画製作・配給会社であるモンテクリスト・エンタテイメントによる出資(ファンドを通じて)で作られた、というわけです。

渋澤さんのおっしゃるとおり、「世界を目指す」という意味もあるでしょうが、株式市場を通さない直接金融、という面から覗いてみるのも一考です。
ハリウッドでは作品ごとに出資者を募る方法が完全に定着しております。ブロードウェイなんかもそうらしいですが、ハリウッドは世界から投資家を募るシステムが出来上がっています。
配給会社から入る配給権収入を担保に、銀行からお金を借りたり、プライベートファンドを作って出資者を募るわけですが、これを世界的にやる。
皆さんご存知、アンジェリーナ・ジョリー主演の「トゥームレイダー」は、実は当初、ドイツ映画でした。製作は米国だったのですが、出資者がドイツだったためです。
ドイツでは、ドイツ製作の映画への出資は、当時、税額控除が認められていました。
そこで、「ドイツ製」にするため、著作権を売って、それをリースする形をとったわけです(最終的に、著作権も買い戻す)。
このあたりの経緯は、こちらに詳しい。
http://allabout.co.jp/career/worldnews/closeup/CU20060417A/index.htm


「1303号室」は、こうしたハリウッド的資金調達をしたわけですね。


米国は、Wall Street以外にも、シリコンバレーでのベンチャーキャピタル、ハリウッドでのプロジェクト・ファイナンスと、直接金融の層が厚い。
比べて、日本は銀行借入への依存度が高い。銀行借入への依存度が高いってことは、それだけレバレッジを利かせてるということで、リスクが高いわけです。あるいは、リスクの高い事業(その分アップサイドの可能性も高い事業)にお金が回らない。

何とか、日本の直接金融の層を厚くしたいもんですね。

2007年11月01日

日本はリスク回避的?

日本は超リスクテイキングな社会です。なんて言う奴は、どこのどいつだぁ?アタシだよ!!
(にしおかすみこ風)

ご存知の通り、日本の家計資産に占める預貯金の割合が非常に高いことが知られています。
これをもって、日本はリスク回避的、などと言う人が多々いらっしゃいますが、とんでもない話です。

「投資」側から見るとリスク回避的ですが、「事業」側から見ると、銀行借入の割合が大きいってことなんで、超レバレッジ社会なわけです。
つまり、日本の中小企業は、みーんな「信用取引」で事業しているようなもので、これのどこがリスク回避的なんでしょうか?

日本のレバレッジを下げるためにも、直接金融をもっと浸透させねばと思うわけです。

2007年07月30日

濫用的経営者(乱用的経営者)

一緒にお仕事させていただいているバリュークリエイト佐藤さんのエントリー
悪玉・善玉


…(略)…
私自身、短期投資家が増えている株式市場に危機感を覚えていますが、だからと言って、短期の売却益獲得を目的とするファンドを「悪玉ファンド」と位置付けてよいのか、さらに、それを司法の力で退場させて良いのかという大きな疑問があります。
株式市場のメカニズムは、多様な投資家が、それぞれの考え、知恵、知識、勇気で投資対象を選ぶことです。最も重要なことは、多様性です。悪玉、善玉の議論と司法の圧力は、この多様性を否定するので、とても危険だと感じます。インサイダー取引はNGですが、短期投資家を否定しても良いのかという大きな疑問が残ります。
…(略)…



「日本の株式市場は短期投資に偏りすぎている」という点で、僕も全く同じ問題意識を持っています。もちろん、お行儀の悪いグリーンメイラーと単なる短期投資家を同一視は出来ませんが、そこの線引きをするのは少なくとも司法ではないのではないかと。



友人からのメールに、「濫用的買収者」ならぬ、「濫用的経営者」なる言葉が出てきました。

「自らの保身のために、企業価値を毀損するような経営者」
あるいは、
「利害関係者への果実の分配を、自らに偏って行う経営者」
といった定義になるんでしょうか。

日本では「濫用的買収者」よりも「濫用的経営者」のほうが現時点では問題な気がします。
(ご本人たちはお気づきでない善意のかたが大半でしょうが。)
じゃあ彼らを裁判所は裁けるんでしょうかね。なんて皮肉を言ってみつつ。

濫用的経営者を「裁く」のは、最終的には株主ということになりますが、そのためにはそれを見抜く目が必要です。
そういう目を提供するという点では、アクティビストの存在意義は今のところあります。
「今のところ」というのは、それが最適とは思っていない、ということですが。


結局、「濫用的買収者」を排除するのも、本来は、裁判所ではなく、そういう目を持った他の株主ということになるのでしょう。

「そういう目」を育てるのは、非常に社会的意義の大きい仕事ですね。

お気づきでなくやってらっしゃる「濫用的経営者」のかたには、「濫用的買収者」に企業価値を毀損される前に、僕も何らかの形で「そういう目」を提案したいなと思っています。

2007年07月11日

ここまでは「日本にとって」最悪の展開

スティールは最高裁に上告するようですね。
そりゃ、そうでしょう、「濫用的買収者(乱用的買収者)」なんてレッテルを貼られたら。

そもそも、濫用的買収者ってナニ?
確かに、よろしくない連中もいることは確かですが、その判断基準があまりにも意味不明。
「経営に参加する意思がなく」ってそれ言ったらほとんどの運用者だってそうですし、「自らの利益のみを追求する」って、そりゃあんただってそうだろう。(おっと言葉遣いが。おほほ)
同一ファンドの中でも投資手法は分かれておりますし、さらに過去のことまで持ち出されると…(これが認められると、スティールは今後ずっと「濫用的買収者」でっせ)。

こういっちゃなんですが、素人の目で判断した薄っぺらい正義感がありありなわけです。
最初の地裁の判決、要するに「他の株主の同意を得ているし、経済的にスティールに不利なわけではないので」のほうが、よほどまともに見える。


何回か書いておりますが、ブルドックの買収防衛策は、スティールが提示したTOB価格そのものに相当する現金をスティールに渡すことになるので、高裁の裁判官殿が思い描いているような、ホンモノのグリーンメイラーにとっては、実においしい話です。

一方で、勝手に司法に「濫用的買収者」なんてレッテルを貼られる市場は、「まともな」運用ファンドにとってはリスクが高くて敬遠したい市場になります。

つまり、今回の一連の流れは、やばい連中は引き寄せ、まともな人たちは遠ざける、という、日本市場にとって最悪の展開になっております。

最高裁は、「まともな」判断をして欲しい。

2007年07月10日

ブルドック、買収防衛策発動か(苦笑)

高裁がスティールの抗告を棄却したので、ブルドックは喜んで「みかじめ料」を差し出すことになりそうです。
お金の出所は、もちろん既存株主のお財布です。
既存株主の方々、わかってますかーー?

これ、ブルドックだけの話じゃないですよ。
ブルドックソースVSスティール・パートナーズでも書きましたが、一致団結して部外者をつっぱねた、という印象(誰が作ってんのかね?)とは正反対のことをしたので、むしろ「日本おいしすぎる」って、余計部外者を集める結果になるでしょうね。

そもそも、株主は、買収がいやならTOBに応じさえしなければ、余計な出費も必要ないのに。

2007年07月04日

「スティール・パートナーズ、丸儲けじゃん」の大いなる誤解

「ブルドックソースVSスティール・パートナーズ」の追記。

「スティールのブルドック株の取得価額が、いただける現金の額よりも低いはずだから、スティールは丸儲けじゃん」という意見が散見されますが、いやいやそれは違います。

スティールとて、彼らの調達資金には投資家から要求される資本コストがかかっているわけで、それを超えるリターンを上げないと「失敗」なのです。
(事実はスティールのみぞ知る)

あまりに誤解されているので一言。

ブルドックソースVSスティール・パートナーズ

ありゃまずい。

小難しいことを差っ引くと、スティールに出て行ってもらう代わりに、TOB価格相当分の現金を手渡します、ってことです、要するに。

世間一般的には、「イチャモンつけてきた893さんを、みんなの力で追い出した!」って図式になっているかと思いますが、実際のところは、「893さんに要求額まるまるのみかじめ料を払って今日のところはお引き取り願った」というだけです。
払ったみかじめ料は「みんな」のお金です。つまり、既存株主のお金がそっくりスティールに流れる。これ、ホントにわかって投票した株主はどれだけいるんでしょうか?

次の893さんが現れたら、またみかじめ料を払うんですかね?


いや別に、スティールさんが893さんだと言っているわけではないです。単なるものの喩えです、はい。


PS.全然関係ないですが、ブルドッ「ク」なんですね。普通に考えたら、ブルドッ「グ」のような気がしますが。ソースが後に来るから、「ク」なのかな。不明。


2007年07月02日

買収は失敗しやすい、というのは本当か?

買収した後の株価が低迷しがちなことをとって、「買収は企業価値向上に結びつきにくい」とする向きがあるが、果たしてそうなのか?
確かに、「将来のシナジー効果は計りにくい」「買収価格がえてして高騰しやすい」「買収(合併)後のカルチャー統一が難しい」ことも確かだろうが、「買収後の株価が低迷する」理由としては、これが大きいのでは?
つまり、そもそも買収したがる企業は、その会社の株式がもともと割高なことが多い。だから、買収によっても株価が思うように伸びず、買収が失敗に見える。

買収の標的にされる企業というのは、事業価値や非事業資産の含み益から考えて、株価が割安に放置されている企業。
翻って、株式が割高に評価されている企業は、他社を買収するインセンティブが働く。実態より割高な株式を、実体のある他社の企業価値に変えたいから。なので、やたらと買収したがる企業は、自社株が割高に評価されているとの自覚があるんでしょう。しかもこの場合、買収対象企業の株価が割安でなくてもいい。割高なものを適正なものに変えられるわけだから。
(それに、企業規模を大きくし、かつ間接部門をリストラすることで、手っ取り早く経営陣のとり分を大きく出来る、というインセンティブもあるだろうし。)

買収には、リソースgetの時間を節約する、業界に過剰資本・過剰労働を引き起こさない、などのメリットがあるので、それ自体は悪いことではない。むしろ、その使い方の問題。
買収前の買収会社(被買収会社ではない)の株価の割高度を考慮に入れずに、「買収は失敗しやすい」とするのはいかがなものかと思う。

PS.ちなみに僕は「買収バンザイ論者」ではないので、誤解なきよう。
正当に評価する必要があると思っているだけです。

2007年06月13日

スティール・パートナーズの会見

とうとう表に登場!なんて言われていますが、僕は逆に、表立って会見しなければならないほど、日本では上手くいっていないのかなと受け取りましたが。

2007年05月14日

平均株価と債券格付けに関する疑問

ムーディーズによる三菱UFJ銀行、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行、三井住友銀行が格上げについてぐっちーさんところで触れられています。ところで、債券格付けに関して、ずっと疑問に思っていることがあったのですが、磯崎さんのところで似たような考えをされているのを見つけましたので、もうちょい分かりやすく書いてみようかと。

その国を代表する株価というと、どこの国でも平均株価なわけです。日本で言えば、日経平均かTOPIX(TOPIXは時価総額加重平均の株価ですね)。
企業の株価というのは、基本的にその企業が将来どれだけ稼ぐか(それを現在価値に割り引いたもの)で決まるわけです。稼ぐ企業もいれば、そうじゃない企業もいるわけで、いい企業と悪い企業の平均がその国の株価になる、というのは至極合理的な考えです。
マクロ経済的に考えても、その国の株価と言えば、平均株価が合理的です。国の株価はその国がどれだけ稼ぐか、ですから、その国のマクロ成長率(厳密に言えば、実質成長率ではなく名目成長率)にリンクするわけで、マクロ全体の成長率は平均成長率に他ならず、よって、その国の株価は平均株価を使うのが合理的というわけです。

一方で、国債の格付けというのは、その国のどの企業よりも高い格付けがついているのが一般的です。いわゆるソブリン債ですね。債券の信用格付けは「返済できるかどうか(貸付資金の回収可能性)」という話なので、普通に考えたら、一企業よりも国がつぶれる可能性は低いだろう、ということで国の格付けが一番高いわけです。
確かに一理あります。が、先の平均株価の話から考えるとおかしくないですか?
国債の返済原資は税金でして、税金を納めているのはその国の企業&個人で、その中には返せる企業(人)と返せない企業(人)もいるわけで、そうすると、国の信用格付けはその平均というのが合理的では?
徴税権と徴税先の分散効果のみで、国の格付けが最高になるという理由付けとして充分ですかね?
僕は、ラテンアメリカの通貨危機が起こった当時、かの地の経済リサーチをしておりまして、(特に外貨建て債券については)結構簡単にデフォルトする現実を目の当たりにしたのですが、日本でも実際に自治体の財政破綻が起こってしまう現実を見るにつけ、ソブリン債の考え方はどうも疑問の余地をはさまざるを得ない気がします。まあ、自治体には金融政策を動かす権限(いざとなったら、インフレにしちまえ)はないのですけれど。

2007年05月13日

日本の投資を考える会

こちらも勝手に命名した「日本の投資を考える会」に参加させていただきました。
(その後、正式名称が決まりましたが、今はまだナイショ。)
これは、僕がアナリストを辞めた根本的な理由というか問題意識に関わってくることでして、何人かの実に頼りになる方々と、今後、日本の投資環境・金融市場にインパクトを与えられる潮流を作れればなーと思っております。
ということで、スタートアップをここに書き記しておきたいと思います。

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2007年05月01日

三角合併解禁

本日より三角合併が解禁になりましたね。
正直、それが何?というのが印象でして。
だって、現金で買おうが、親会社の株式で買おうが、本質的にはなんら変わらないので。


買収の対価として被買収会社の株主に支払われるもので、一番イメージしやすいのは、当然現金なわけですが、三角合併は、対価として、買収側の会社の株ですらなく、その親会社の株が使えるということです。

新会社法の施行自体は、平成18年5月1日、つまり去年の今日だったわけですが、この買収対価の柔軟化部分については、日本の産業界の「防衛策準備する時間をくれよー」ってことで、1年先延ばしになったわけですね。

これでますます日本企業が買収の標的なる!防衛策の研究!だとかって、専門家に大金払って勉強会、なんてことがテレビなんかで流れ、大概は、日本の企業が時価総額が小さい!だから買収される!ってな脅しが決まり文句になっているわけですが、なんのこっちゃです。
「時価総額が小さい」ことは特に問題なわけではありません。
「時価総額が『割安』」なことが問題なわけです。

あっちの企業の時価総額は何兆円、こちらの企業の時価総額は何百億円、だから飲み込まれる!なんてことが、まことしやかに語られるわけですが、そうじゃないです。
こういうこと言う人たちは、経済の本質が「何かを得る代わりに何かを差し出す」ってことだということを、根本的に分かっていません。

普通の買い物を考えてください。
買い物するときは、自分にとってその物の価値(得るもの)が、付いている値札(差し出すもの)以上だと判断するからこそ、買うのですよね?
金持ちだからといって、自分が価値を見出せないものに大金出しますか?
傍から見て「なんでこんなものに大金払う?」って大金持ちはよくいますが、その人たちだって、自分の得られる価値(見栄とか、そういうものも含めて)が、実際に払った価格より大きいからこそ、その買い物をしたのです。

買収も同じです。いくらあっちの企業が時価総額でかいからといって、こっちの企業を「安い買い物だ」と判断しない限り、買収なんかしませんよ。
いくら「価格」が安いからといって、「価値」より随分と高い買い物しちゃった日には、既存株主に訴えられちゃいますからね。
つまり、単に価格が安いから買うのではなくて、「価値に対して安い価格しか付いていない」からこそ買おうと思うわけです。
その際、現金を差し出すのか、株式を差し出すのかで、本質的な違いはありません。
「何かを得る代わりに何かを差し出す」、その「何か」が、現金ではなく親会社株式が使われるってだけです。

要するに、時価総額の「大小」が問題なのではなく、「割安」かどうかが問題な訳です。
自社の株式が割安に放置されるような経営をするな、という至極まっとうな結論しかないわけです。



とは言っても、経営者にとって規模をでかくするインセンティブ(割高でも買い物するインセンティブ)があるのも実は事実なわけで、その話はまた今度。

2006年12月22日

亀田興毅の企業価値再考

前回の試合で、僕はこんなことを書きました。
06年8月3日付「亀田興毅の企業価値をDCFモデル的に考えてみる

今回の業績発表でどう変わったか?
何と言っても、これまでとは別のスタイルで勝利したのが大きい。
これまでの彼のスタイルは、ガードを固め、足を止めてインファイト。
しかし今回はがらりと変えて、足を使ってヒット・アンド・アウェイ、ランダエタを器用に捌いてみせた。
これによって、引き出しの多さを証明、戦術さえ間違わなければ、どんなタイプの相手でもある程度対応できることを見せた。
企業で言えば、これまでとは別の市場でも、同社の持つ技術が使えそうだ、という状況。

これにより亀田の将来キャッシュフローは上方修正。
かつ、スタイルを変えられることで、いわゆる「相性」の問題(相手との相性が悪くて負けた)、というリスクが低減、割引率の低下にもつながった。
というわけで、亀田の企業価値は上方修正。

ランダエタがそう器用な選手でもないため(かつ元々下の階級の暫定チャンピオンでしかないため)、亀田の将来キャッシュフローが大幅に上方シフトされるためには、別のタイプの相手との戦いをもう少し見る必要があると思われる。


PS.大毅については、粉飾決算の疑い晴れず。その辺のおっさんみたいなのと戦うのはいいかげんやめなさい。

2006年11月16日

金融オプションを売るのはバカ者のすることではないのか?

あくまで、ブラック=ショールズ式のまま金融オプションを値付けする場合ですけど。

今は色々と改良モデルがあるようですが、依然として、ブラック・ショールズ・モデルそのままでオプションバリューを出している場合も多いのではないかと思うのですが、トレーダーやディーラーのかた、いかがなんでしょう?
教えていただけるとありがたいです。

ちなみに、金融界ではよく「オプションを売るのは怖いよね。オプションを買う場合は、損失が限定されてるからいいけど、オプションを売ると、損失が限定されないからね」と言われるのですが、これは認識違い。なぜなら、オプションを売る場合も、そのリスクに見合った値段になっていれば、問題ないわけですから。


ではなぜ、タイトルのように考えるかというと、オプションの値付けに使われるブラック・ショールズ式が、株や為替の変動率が正規分布に従う、という仮定の下に導き出されていることが原因です。
しかし、実証的には、正規分布よりも裾がもっと広い分布をしていることがわかっています。
つまり、今流行りの「予想外」の下落や上昇が、たまにある、ということです。
言い換えれば、ちょっと前流行った「想定の範囲『外』」の下落や上昇が起こる確率が、正規分布で想定される確率よりも高い、というわけです。

それがどうした、と言われるかもしれませんが、これが大問題。
オプション価値の決定要因である「ボラティリティ」を、正規分布では低く見積もってしまうのです。
ボラティリティが高いほどオプションの価値は高まるわけですが、それを低く見積もっている。
とすると、ブラック=ショールズ式で算出されるオプションの価格は低く見積もられているというわけです。

そういうわけで、オプションを買う人は、割安に手に入れることができ、逆にオプションを売る人は、わざわざディスカウントで売っているわけです。

以上のことは、コール・オプションであろうが、プット・オプションであろうが、関係なく言えることです。

ブラック・ショールズ式の貢献を否定しているわけでは全くないです。これによって、デリバティブの値付けに一定の基準が生まれ、市場拡大に多大なる貢献があったのは間違いのないところです。ただ、そのまま使うと、オプションの値段は、実態よりも低く見積もられてしまう、ということです。


金融オプションの売買パフォーマンスがわかる統計ってあるのですか?
(売買高、取引高の統計は見たことあるのですが)
長い目で見たら、オプション買っている人のパフォーマンスが、オプションを売った人のパフォーマンスを上回っている、という結果になっていると想定されるのですが、これも教えていただけるとありがたいです。


PS.これ読んで、よっしゃーってオプション買って損を出しても、当方、一切の責任を持ちませんので、あしからず。

2006年11月06日

価格ターゲティングと製品ミックスと事業ポートフォリオ

証券アナリスト(株式アナリスト)の説明で、こういう言葉をよく聞きます。
「利益率の低い事業に手を出したので、製品ミックスが悪化した。この企業は×」

でもこれ、本当に正しい見解でしょうか?

これ、実は06年10月31日付「ソフトバンクの「予想外割」が価格破壊だとしか報道されない件について」でご説明した「価格ターゲティング戦略」と非常に関係のある話です。
価格ターゲティング戦略は、同じようなサービスでも、顧客セグメントによって料金を変えることで、稼げるキャッシュを大きくしよう、という戦略です。
これ、実はそこかしこで見られます。
映画館の学生割引とか、スポーツクラブの時間別料金とか、スーパーの閉店前割引とか、カフェでのメニューによる大きな価格差とか・・・。

同じようなサービスを価格を下げて売るということは、それだけ利益率が低下します。
しかし、それで回収できるキャッシュが増えるならば、それでいいわけです。
正確に言えば、その企業の資本コストが変わらない限り、キャッシュの純増は企業価値を高めることに繋がるわけです。


これ、製品・サービスのラインナップにおいても、事業のポートフォリオにおいても、本質的には同じ話なわけです。
とかくアナリストは、低利益率の製品・サービスや低利益率の事業に会社が手を出すと、ネガティブな反応をします。
会社全体の利益率が下がるからです。

ところがこれは、まさに、木を見て森を見ず、です。

たとえそれが低利益率の事業だろうが、追加のキャッシュに繋がるのであれば、全然オッケーなんです。
あるいは、新たなリソースが必要だとしても、ノウハウが通用するものなら、全然オッケーなんです。
それが企業価値創造に繋がるならば。


もちろん、同じリソースを使って、より高い利益を生む事業があるにもかかわらず、わざわざ低利の事業に手を出す、なんて企業はダメですよ。

でも、そうでないなら、たとえ製品ミックスが悪化しようが、会社全体の利益率が下がろうが、企業価値創造に貢献するならいいわけです。

ポイントは、新たな事業を加えたときの会社の投下資本利益率(ROIC)が、新たな事業を加えたときの会社の資本コスト(WACC)を、累積で上回ること。
ここをクリアーしていることがポイントです。

最初に戻って、価格ターゲティング戦略をこの枠組みで考えてみます。
例えば、学割。
相手が学生だろうが、同じサービスをするなら同じコストが掛かるわけで、当然、価格を下げれば利益率は悪化します。しかし、割引にすることで、普段の値段では消費者にならない学生が、新たな客になってくれます(つまり、学生は価格弾力性が高いわけです)。
価格が下がる以上に需要が増えれば、キャッシュは増えるわけです。
企業にとっては、価格を変えるだけなので、資本コストは変化なし。
(厳密に言えば、株式の資本コストが微妙に変化する可能性はあるけど、まあ無視できるでしょう。)
追加の資本投下も必要ないので、キャッシュが増える分、投下資本利益率は上昇します。
つまり、投下資本利益率−資本コスト(ROIC−WACCスプレッドと言います)が大きくなるわけでして、企業価値の創造にプラス、と。


製品ミックスも事業ポートフォリオも一緒です。
厳密に言えば、製品(事業)の構成割合が変化することで、事業の全体のリスクが変化し、資本コストは変化するでしょう。
しかし、ROIC−WACCスプレッドがプラスになるならばオッケー、という本質的な枠組みは同じなわけです。


というわけで、低利益率の製品や事業についての見解として正解なのは、「資本コスト(WACC)を上回る投下資本利益率(ROIC)が得られる事業であれば、たとえ利益率が低くても企業価値向上に貢献するので○。資本コストWACCを下回る投下資本利益率ROICしか得られない事業に手を出したならば×」。


単純に「製品ミックスが悪化するから×」とかいう説明をするアナリスト、あなた自身が×ですよ。


2006年11月02日

モンテカルロDCFについての質問への解答

snow-sanから06年10月20日付「モンテカルロDCF、リアル・オプション」に対して、コメント欄で質問がありました。
内容は、「今、naoさんが考えているモデルでは、何が確率分布の横軸(縦軸は確率)になるのでしょうか?」でした。

コメント欄で回答しましたが、コメント欄って皆さんご覧にならないことも多いようなので、記事上で改めてご回答します。


えーと、何が横軸になるかというと、様々です。
まず、僕がここで想定しているモデルは、企業の将来業績の予想モデルです。最終的には、企業の利益(あるいはキャッシュ)の予想をしたいのですが、そのために最も重要なのは、どの企業においても、「売上」の予想です。
で、その売上を決定する主要パラメータが企業によって違うわけです。 その主要パラメータに確率分布を仮定してみよう、というわけですね。 利益を予想するのに、当然、コストの予想もしなければなりませんが、ここにも主要パラメータがあって、それが確率モデルを仮定できるようならば、そうしたい、と。

で、もしかしたらこっちがsnow-sanの質問への直接的な答えになるのかもしれませんが、そのパラメータによって実数であったり変化率であったりします。
例えば、材料を輸入している企業などは、材料費が為替レートに左右されます。為替レートは、変化率であれば、ほぼ正規分布で近似できるんで、正規分布を当てはめるとか。

そういうお答えでよろしかったでしょうか?

もし何かあれば、またコメントいただけますか?

皆さんも遠慮なくご意見いただけるとありがたいです。
100%の回答は保証できませんが。


PS.ところでsnow-san、もしよろしければ、メアドを教えてもらえますか? 可能ならば、右列にある僕のメアドに送ってください。

2006年10月20日

モンテカルロDCF、リアル・オプション

(入院中ヒマなときに、ファイナンスの新分野の復習として、リアル・オプションの本を読んだので、その備忘録。金融理論に詳しい方、あるいは実務に詳しい方は、ご示唆をいただけるとありがたいです。金融理論に興味のない方はスルーしてください。)




大きなテーマとしては、
・モンテカルロDCF
・(ディシジョン・ツリー分析)
・(バイノミナル・モデル)
・リアル・オプション
これらをいかに実務での事業価値算定や投資の意思決定に利用するか、ということがケースを用いて説明されてあった。
この本自体は、説明が結構不十分で決して入門者が読みやすい本ではありませんので、ご注意を。
実務への理論ツールの利用を整理するのには使えます。


というわけで、以下、モンテカルロDCFとリアル・オプションについて。

事業価値算定の基本は、DCFモデルである。
しかし、DCFモデルではいくつかの限界があり、それを解決するためにDCFの発展系として、上記のような分析モデルが登場した。

DCFモデルでは、数多くのシナリオ分析をするには限界がある。
そこで、企業の業績を左右する重要ドライバ(為替や原材料価格など企業によって違う)に確率分布を仮定して、モンテカルロ・シミュレーションをぶん回し、結果としての事業価値も確率分布として考えよう、というのがモンテカルロDCF。

4年ほど前、構造計画研究所のリスク分析シミュレーション・ソフトである「クリスタル・ボール」のセミナーに出席した僕は、会社に、アナリストの業績予想を確率分布で作って、企業価値算定することを提案したことがある。
(あえなく却下。まあ理解して利用することが出来る人が多いとは思えなかったので、それ以上はごり押ししなかったけど。たぶん提案した上司も理解してなかったと思う。)

それが、今やコンサルの分野では当然のように使われるようになってきたんのかな。
俺も使いたいのだが、ソフトがバカ高い。
(誰か、モデルを作ってくれる人いませんかー?)

利点は、リスクをキャッシュ側に集約したこと。おかげで割引率をリスク見合いでどれぐらいにしようかーと悩まなくて済む。
でも、そもそもの確率分布をどう仮定するか、ということでざっくりした前提が必要になるので、行って来いの気もする。
シナリオをたくさん試したい場合には、有用です。



さて、DCFモデルの別の限界として、オプション価値を事業価値に盛り込むことができない、という点もある。
例えば、2つの事業があり、どちらも予想される将来キャッシュフローが同一、リスクも同一とする。
そうすると、DCFで算定する事業価値はどちらも同じになる。
しかし、一方は途中で撤退が出来るのに対し、一方は途中撤退ができないものだとしたら、本来は前者のほうが、そのオプション価値だけ事業価値は高くなるはずである。
そこで金融オプションの価格算定モデルであるブラック・ショールズ式を応用して、このオプション価値を事業価値に盛り込もう、というのがリアル・オプション。

結果、DCFでは過小評価されて投資されない事業が、リアル・オプションで事業価値評価すると、投資されるようになったりする。
(ところで、ひとつ疑問なのだが、撤退できる事業と撤退できない事業では、そもそもリスク認識が違うので、割り引く資本コストが変わってくる、つまりDCFで算定しても事業価値は違うのではないか?)

リアル・オプション理論に最初に触れたのは、5,6年前だったか。
何かの雑誌で紹介されていたのを読んだのが最初。
なるほど、確かに理論としてはすごく全うで金融理論の面白い応用の仕方だな、と思ったが、これをリアルの事業に実務上適用するのは結構大変ではないか、とも思った。
事業のボラティリティとかどうやって計算するの?とかね。

そうこうしているうちに、リアルオプションの本なんかが紹介され出し、そして例によって、構造計画研究所がリアル・オプションのソフトを販売し始めました。
このセミナーも聞きに行ったことがあり、それが3,4年前だったかな。
(この会社、本業は建設関連のCAD/CAMのソフトを作って売ってんだが、ボストン・コンサルティング出身の服部さんって人が社長になって、こうした最先端の経営理論関連のソフト・ビジネスを目ざとく手がけるようになった。まあ、さすがのセンスというか。)

それが今や、これまたコンサルの分野では、普通に実務に活かされているのかな。
かなり強引な仮定を各所に置いているようだが。
それでも、おおよその事業価値の落としどころを定量化できるという意義は、やはり大きい。
隔世の感があるなー。
投資銀行系は普通に使ってんだろうな。
ベンチャー・キャピタルとかはどうなんでしょうか。
(その辺の事情を教えてくれる人、いませんか?)

ちなみに、アナリストでリアル・オプションを使って企業価値を算定している人なんているのかね?
少なくとも、僕が以前いた会社では誰もそんなことしてなかった。
リアル・オプションを使わないと、過小評価しがちなセクターの担当者でもね。