2013年03月08日

ロイターさんに取材を受けました。

先日、ロイターさんより、アベノミクスについての取材を受け、英字版にコメントが掲載されました。
今後の設備投資や賃金の見通しなどについてです。

ロイターさんが定期的に企業向けにアンケート調査を実施しており、その内容についてのインタビューでした。

僕の見解の詳細については、また機会を改めて書いてみたいと思いますが、とりあえず掲載記事はこちら。

「Exclusive: Tight-fisted Japan firms deal blow to Abe's revival plan - Reuters survey」

posted by nao at 10:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月18日

為替の時間軸と実業の時間軸

先週末から今週前半にかけて、日本のものづくりの上流メーカー2社とミーティング。
シャープやソニー、パナを始めとした家電メーカーの惨憺たる状況ばかり表に出るが、彼らの上流には、産業ツリーを形成している上流のものづくりメーカーが脈々といて、彼らの屍が累々と積み上がっていってるんだよなぁ。エレキは自動車とともに産業の裾野が広いからなぁ。民エレだけじゃなく、産エレもだけど。

もちろん、これはものづくりの需給バランスが大きく崩れたこと(世界中でものづくりができる人たちが増えたこと)が原因の一つなんだけど、それだけだったらサムスンうはうはで日系企業だけ死に態ってのは説明がつかない。では、そこが経営力の差だけか、って言うと、もちろんそれはあるだろうけど、やっぱり為替の影響は大きいな、ってのが率直なところ。
おそらく、彼我の業績の差へのの影響度分析したら、為替の説明力はかなり高いんじゃないかな。
実質実効為替レートで見ると、ドル円とかユーロ円から受ける印象ほどは円高ではないのだけどね。

円高=デメリット、円安=メリット、なんていう単純な二元論に与するつもりは毛頭ない。けれど、円高になったら円高のメリットが活かせる戦略をとればいい、なんて言うほど簡単には実業で方向転換できない。M&Aするにしたって時間かかるし、海外に拠点って言ったって時間もカネもかかるし、バリューチェーンがそこにない場合は、いくら円高でも一社で行ったって意味はない。ましてや産業を転換するっていったらそれこそ相当の時間がかかる。文学部の人に、「そこに需要はないから、明日から工学部ね。」って言ったって、すぐには転向できないでしょう。
そこも含めてリスクマネージしとこうよ、ってことで僕の出番なんだけど。ぜひお声掛けください。笑
(ちなみに、しばらく円高が続いたこともあって、海外企業へのMAはかなり増えている。苦境の日本企業を海外企業が買うぜってパターンも増えてるけど。)

この点で、日銀や政府は円の高騰を緩やかにするということに、もう少し出来ることはあるんちゃう?と思ってしまう。僕は、基本的に、何かあったらすぐ国頼みの姿勢は大嫌いなのだけれど、それでもこの件に関しては、もうちょっとなんかあるやろ、と思ってしまう。

竹島の問題から、日韓のスワップ協定を破棄しようぜ、ってアイデアがある。確かに、一瞬いいアイデアかもなと思ったんだけど、でもウォン安になったら、日本のエレキ産業の方々は、さらに追い打ちだね。ウォン安になったからって韓国企業を買収しようって話でもないからね。

PS.ちなみに、僕は、領土問題は、ゲーム論の「くり返しゲームの合理戦略」を淡々と貫けばいいと思う。協力には協力を、裏切ったら相応の報復を、また協力的になったらすぐ協力を。決して感情的にならず、笑顔でこれを繰り返す。これ以上わかりやすいメッセージはないね。
こんなことで僕の周りの韓国系、中国系の友人たちとの関係が悪くなる、なんてバカらしいことだけは起こってほしくない。そんな人たちではないと信じている。

ラベル:経済 為替 通貨
posted by nao at 13:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月01日

Think globally, act locally

ご存知ですか?
米国の研究ですが、平均すると企業業績の6割は、マクロ経済や事業の市場環境で左右され、個別の経営力は残りの4割を占めるにすぎない、ということ。
つまり、経済環境=時流と言ってもいいですが、それを的確に捉え、勝負所を決めること、これで企業業績の6割が決まります。これが経営戦略の6割を占めるってことですね。

というわけで、ちょいと世界経済をものっすごく簡便に概観。
続きを読む
ラベル:経済
posted by nao at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月27日

円ドルで見てちゃ分からない

円ドルが84円台なんていっているので、皆さんびっくりしていますが、実質実効レートでみると、皆さんが驚くほどではないですね。

95年当時とはずいぶん違います。

こうしてみると、85年プラザ合意以降95年までの円高はすごかったんですね。

yen.gif

あ、これあくまで全体として、なので、局所では大変な人、ウハウハな人いるんでしょうが。

ドル円でFX始めちゃった人なんて、大変だろうなぁ〜
ラベル:通貨 為替 経済
posted by nao at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月04日

血迷う脳 書評:マッテオ・モッテルリーニ「経済は感情で動く〜はじめての行動経済学」&「世界は感情で動く〜行動経済学からみる脳のトラップ」

行動経済学は、従来の経済学が前提としてきたホモ・エコノミクスに対するアンチテーゼとして登場した。
ホモ・エコノミクスとは、人間を「経済的利益を最大化するエージェント」として捉えること。そうすると、数学的モデルが立てやすい、というメリットがある。
行動経済学が主張するのは、「人間は経済的利益を極大化するような合理的な存在でない、結構非合理な存在だ、しかも、その非合理に規則性が見られるよ」ということだ。

確かに人間は「経済的」利益は極大化しないが、お金で測れないものも含めて「利益」と考えると、やはり利益を極大化する存在だと思う。
また、個々人レベルでは、ときおり合理的でない行動もとるが、集合体としてのマクロでみると、経済的にもかなり合理的なのではないかと思う。

というわけで、行動経済学は、従来の経済学へのアンチテーゼとしては、やや過剰にもてはやされている感じが、僕はしている。

とはいえ、「脳の非合理性には規則性がある」というのは、すごい発見だと思う。脳はこういうトラップにひっかかるのだ、ということを実際の実験やテストで提示してくれるだけでも、理屈抜きでおもしろい(ちなみに、僕は天邪鬼だから、こうした実験にあまり引っかからないけど)。しかし、それ以上に、こうした非合理の規則性を理解していると、マーケティングや政策上のインセンティブ設計にかなり活かせるはずなのだ。

例えば、価格のアンカー効果(高いものを混ぜると、それに引っぱられて平均売価が上がる)なんて、典型的な価格戦略だ。
お客さんのためを思って種類を増やしたのに、逆に売上が落ちた、なんてことを避けられるかもしれない。

あるいは、こうした脳のトラップを知っていることで、逆に「ひっかからない」ように注意することもできる。
先日書いた「ハロー効果」は、まさに認知バイアスのひとつだ。


人間の脳は、時間をかけて合理的に決定に結びつくルートと、時間を節約して即決する、そのかわりに合理をやや犠牲にするルートと、2つのルートを持っている。
行動経済学は、とどのつまり、この後者、「時間の節約のために、ときおり合理を犠牲にしてしまう」ときにハマるトラップを扱ったものと言っていい。
ようは、「血迷った脳」学。

こうした仕組みを知れば、この2つのルートをうまくコントロールできるかもしれない。
つまり、行動経済学を知ることは、篇頭体が生み出す結論のスピードと、前頭前野皮質が生み出す合理を、いいとこどりしようという試みなわけだ。

でも、もしかしたら篇頭体はコントロール不能であるがためにスピードが出るのかな?
そこは本著を読んだ後に、ご自身で「実験」してみてください。




posted by nao at 11:41| Comment(0) | TrackBack(2) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月23日

勝間さんと堀さん、お二人で積み木をしてみては?

先日、NHKとフジがコラボした、若者とのトークする番組で、勝間和代さんと堀紘一さんがやり合っていた。

勝間さん曰く、昔のほうが右肩上がりだった、現在は成長しない。だから今のほうが厳しくて若者の貧困多い。

堀さん曰く、昔のほうが貧しかったに決まっているだろ。

さて、どっちが正しい?

正解は、どっちも間違い。
正確に言うと、どっちも半分しか合っていない。
なぜなら、ストックとフローの話を混同しているから。

「昔は右肩上がり、今は成長しない時代」
これはフローの話。
1年間といった「一定期間中」に、経済活動でどれだけの付加価値を作ったかってこと。
つまり、1年でどれだけ積み木を積み上げたか、ってこと。

「昔のほうが何もなくて、貧しかった」
これはストックの話。
ストックは、フローの経済活動の累積で、「その時点で」どれだけの資産を持っているかということ。
つまり、その時点で積木の高さがどれだけあるか、ってこと。
そりゃ昔より、交通手段や生活環境などのインフラは、明らかに昔のほうが貧弱で豊かじゃなかった。積木の高さは今のほうが高い。

お二人は、このフローとストックを整理できていなかったので、話が噛み合わなかったのでした。
これって基本中の基本なのだけれど、実際の問題になると「専門家」でもごっちゃにする人は多い。

正解は、「ストックでは現在のほうが豊かだけれど、フローでは現在のほうが厳しい」

今の日本は、「豊かで厳しい時代」なのだ。
積木が高くなってよかったね、でもこれ以上積み上げるのが難しくなったね、ってこと。

豊かなストックはあるけれど、それを使うにはお金がかかるわけだし、安定的なフローは欲しいよね、堀さん。確かに、自らの人生は自らのものだから自分で何とかする気概は大事、でも、みながみな、あなたのような能力と機会を与えられているわけじゃないんだからさ。

マクロの改革は必要で、すばらしい活動をしていると思うけど、ミクロのそれぞれの現状はミクロのそれぞれがどげんかせんといかんのも事実だよね、勝間さん。産業が成熟化したからチャンスが見い出しにくい、というのはホントにそうか?と思うよ。
ラベル:経済 経済学
posted by nao at 08:08| Comment(3) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月23日

かんぽの宿の最大の問題点

色々問題な部分もあるのかもしれませんが、一番の問題は、鳩山邦夫さんがサンクコストの概念を全く理解していないことにあると思います。
ラベル:経済 経済学
posted by nao at 23:17| Comment(1) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月26日

中央銀行は資産価格を目的関数に入れるべきか?

池田センセイが「金融危機の起源」というエントリで、本の紹介がてら書いていることですが、僕が以前書いて田中秀臣センセイとやりとりした話題だったので、トラックバック。

僕の結論は、「目的変数を増やすと政策運営が難しくなるので、基本は、物価安定と実体経済の2つでいいが、ただ、行き過ぎた資産価格は必ずと言っていいほど実体経済に影響を及ぼすので、ある程度コントロールすべき」というものです。つまり、実体経済の説明変数として資産価格を無視してはいけない、ということ。

より詳細は以下参照。

日銀の、いや中央銀行といふものによる金融政策といふもののミッションは何か、をまず議論するべき

田中先生のコメント

あ、資産価格の性質という意味では、これも関連しますね。

不動産の粘着性
ラベル:経済 金融政策
posted by nao at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月24日

大恐慌時と単純比較する輩たち

現在を大恐慌時に見立てて政策を議論することがまかり通っていますが、資本市場の自由度や為替制度が当時と現在では全く異なります。
そうすると政策効果が異なってきます。

自称エコノミスト、自称ストラテジスト、政治家の皆さん、あなたがたの発言は影響が大きいので、無責任な言説を垂れ流すのは止めてください。マスメディアの皆さん、あなたがたの影響は依然として大きいので、本物かエンターテイナーかを判断せずに、彼らの言説を垂れ流すのは止められた方が、ご自身たちのためだと思います。意味が分からない方は、マンデル=フレミング・モデルが何を示唆しているかぐらいは知ってください。
(僕は理論万能主義者ではないですが、政策のベクトルはある程度判断できると思っています。)

情報を受ける皆さん、有権者の皆さん、フーバーだのルーズベルトだのと大恐慌時と「単純に」比較して財政出動・公共投資と語る人は、あまり信じるに値しない人だと考えたほうがいいです。
不況になると必ずこういう単純比較主義者が出てきますが、彼らは「資本市場の自由度の違いや為替制度の違いによって、政策効果が変わる可能性がある」ということを知らない人たちです。

本物か偽物かフィルタリングをかけるいい機会です。
彼らの発言をよく覚えておいてください。
posted by nao at 10:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月18日

ドル高誘導

を決め込んだみたいだが、「必死やな」というのが印象。

どうやって担保するんだろ。
posted by nao at 18:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月02日

ユーロ安、ユーロ高の理由

最近の動向というより、もっと長い話。

ユーロが発足して数年は、ユーロがやたら安くなった時期で、そのときの説明は「新興の弱小国が入ってくるから弱い」と説明されていた。
今はユーロが強くて、その理由は「可能性のある新興国が入ってくるから強い」と説明されている。
同じ理由が、ユーロ安、ユーロ高の説明に使われているなんてなんか変ですねー。
結局、どちらも正しくて、どちらも間違い。

基本的には、新興国で成長の可能性のある国は、通貨が高くなる。
一方で、落ちぶれていく国が参加すると、通貨安要因。
つまり、そのときの経済状況ではなく、その後の方向性が第一のキー。
新興国の参入は「落ちぶれていく国」でない限り、ユーロ高要因。
ただ、参入時の交換レートがあまりに新興国通貨に割高で、ユーロ側に割安な場合は、ユーロを押し上げるまでに時間がかかる場合がある。
つまり、もうひとつのキーは、ユーロ参加時の現地通貨とユーロの交換レートが割高か割安か、ということ。

そこまできちんと見てユーロを語っている人は、いたら教えてください。

もちろん、これだけで決まるわけではないですよ。
それぞれの国での、インフレ率や経常収支、資本移動の自由なんかにも依存するので。



ところで、ユーロ圏内の景気連動の問題は解決したんですかね?
(いわゆる不揃いの林檎たちを一つの政策金利でコントロールするってやつ)
posted by nao at 06:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月01日

不動産の粘着性

米国の雇用統計やISM指数など、米国不動産市況下落の実体経済への影響が明らかになりつつあります。
だから言ったでしょう、そんなもんじゃないって。
米国の住宅市場、サブプライム・ローンにばかり注目が集まっていますが…
誰だろうねー、影響軽微だの、もう一巡して反騰期待だの言ってたのは。

FRBは必死で金融面での信用不安には手を打っていますが、実体経済への影響はどれだけ食い止められるんでしょうか?
もうすでに実質的には公的資金注入ですよね。(ベアスターンズ買収の件もそうだし、SWFなんてまあ半分海外の公的資金に近い性格ですよね?もちろん米国のカネではないし、建前上は運用ですが)

もちろん、信用不安を食い止めるのは大前提、しかし、信用不安が解消されたからと言って、実体経済へ影響を食い止めきれるものではない。なぜなら、不動産の逆資産効果が、カネの融通とは別ルートで実体経済に影響を及ぼしますので。

不動産のタチが悪いのは、その粘着性。
つまり、「今日下がった価格は明日も下がる可能性が高い」ということです。
株価のようなブラウン運動で近似できるものは(本当はできないけど)、いわゆるランダム・ウォークと言って、「今日下がったからと言って明日下がるとは限らない」という性格が強いのですが、不動産はそうはいかない。
要するに、上げ出すと長期だが、その分下げだすと長期になる、という性質があるのです。

しかも、米国不動産の問題は「サブ」プライムローンだけじゃない。
ホームエクイティー・ローンで消費に回っていた分は、不動産価格の上昇がなくなっただけで剥落します。
これについては、こちらに書いたのでご参照。
サブプライムローン問題なんて名前をつけるから、問題を矮小化してしまうのです。
米国不動産バブル崩壊と言いなさい。

問題の本質は二つあります。
CDOなどで不動産ローンを証券化して、リスクを分散したつもりが、実は相関度の高いものを束ねたので、実はリスク分散していなかった、それを世界に売りまくっちゃので、世界に飛び火した、というのが問題の第一点。しかも、それを評価できないものだから問題が肥大化してしまった。
もう一つは、不動産価格上昇を止める術がなく、さらに価格上昇を前提とした仕組みに消費が頼りすぎた、ということ。

信用供与や公的資金は、第一点の解決策にはなるが、第二点目の解決にはなりません。

じゃあ、第二点目の解決策は何かというと…。まあ基本は問題そのものに手を突っ込むことですが、ねえ…。
要するに、そう打つ手が無いわけで、しばらく続くんじゃないですか?
そう打つ手が無いのだから、実体経済浮上策としては、ドル安は放置にならざるを得ないでしょうね。(ドル高政策は今は昔)

で、ここで問題になるのが、ドル安による輸出増というシナリオは、うまくいくのか?という点。
いわゆる、「デカップリング」か「世界は一つ」か。
デカップリングなら、米国以外の経済が牽引役になって、ドル安→米国の輸出増、というシナリオが機能する。
「世界は一つ」ならば、米国の影響は大きく、世界経済の不調は長期化する。

水野和夫氏「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」によると、
○米国のGDP成長率と他国のそれの相関は高まっている
○米国輸出の世界輸出に占める割合(浸透度)は下がっている(米国は輸出経済じゃない)
○BRICSの輸出浸透度は上がっている(BRICSは輸出経済)
というわけで、もしこれが正しなら皆さんが思っているほど、デカップリングには期待できない、ということになるんでしょうか。
とは言え、日本株が示しているほど、日本企業は米国経済に依存しているんでしょうかね?あ、政治リスクですか、そうですか。

関連記事

・米国の住宅市場、サブプライム・ローンにばかり注目が集まっていますが…
・日銀の、いや中央銀行といふものによる金融政策といふもののミッションは何か、をまず議論するべき
・サブプライム・ローン問題の本質は「不動産バブルの放置」と「証券化商品のリスク・リターンの不認識」にある




posted by nao at 14:16| Comment(0) | TrackBack(2) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月05日

吉本佳生「スタバではグランデを買え!」


身近な実生活を経済学の目を通して解説した本。
取引コスト、規模の経済性、平均費用と限界費用、需要の弾力性を利用した価格差別、インセンティブなど、ミクロ経済の知恵が、実生活の「なぜ?」の解説に用いられている。
ミクロ経済学をある程度理解している人にとっては、ちょっと物足りないかもしれないが、そうでない人にとっては、大いに発見があるだろう。
携帯電話会社の料金設定については、以前ちらっとこちらで触れたことがあるが、この本にはさらに詳しい解説が書かれてある。

特に、ぜひ皆に知ってもらいたいと思ったのは、第8章「子どもの医療費無料化は、本当に子育て支援になるか?」
一見民に優しい衆愚な政策に踊らされると、いかにツケを払わされるか。こういう動的なフィードバック効果を考えずに、表面的な効果を謳う政策って結構ある。

最後に登場する音楽著作権の話のポイントは、「著作権者のためではなく、周辺業者の既得権を守っている」ということだが、周辺業者をCD製造業者じゃなくて、ぜひJASRACに置き換えて書いて欲しかったなぁ。
ちなみに、JASRACとはこんなところです。YouTubeなので音注意。
http://jp.youtube.com/watch?v=I5anNWJkw08

この本を消化した人、あるいは物足りなく感じた人は、ちょっと古いが伊藤元重「ビジネス・エコノミクス」を後継として薦めたい。
前掲がミクロ経済で実生活を解説したものであったのに対し、こちらは、実生活でミクロ経済学を解説したもの。より理論に重きが置かれており、モラルハザードやオークション理論、ゲーム論なども登場する。
ミクロ経済学の肌感覚がより身近になると思う。



posted by nao at 12:09| Comment(0) | TrackBack(3) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月02日

低価格自動車の時代

インドのタタ自動車が、30万円弱(追記:約28万円らしい)の自動車を来月ニューデリー開催のモーターショーで発表するというニュースを聞いて、おお!と思ったのですが、日産は既に現地企業との提携で30万円台の低価格車の2010年までに作ることを発表しているんですね。

思ったより早くこういう世界(「自動車とケータイ」)になるのかな?
posted by nao at 23:21| Comment(1) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月03日

中国の外貨準備高

以前から思っていることなんですが、中国の外貨準備高を他国と単純比較する風潮に強い違和感を感じるのですが。
民間の対外資本取引が自由でない国なので、その分が政府の外貨準備にカウントされていますので。

もちろん、国際金融における「中国」の存在感が増していることに疑いの余地はないのですが。
posted by nao at 02:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月02日

「群集の」「叡智の」値段

群集の叡智にどう値段をつけるか、これはオープンソースでの価値創造における付加価値の配分問題とも大いに関係してくる話で、個人的に実に興味のあるところです。
(群集の叡智については、以前、「組織の知恵」を書きましたのでそちらを参照のこと)

これについて、小飼弾さんがおもろいエントリー(全文はこちら:叡智の値段)を書いてらっしゃいますので、反論と気づきをまとめておきます。


----------
叡智は0円であるだけではなく、0円でなければならない
叡智の値段が0円であるもう一つの証拠があります。値がつくものは所有可能なのです。所有可能というのはどういうことかというと、私が持っているものはあなたは持っていない、ということです。私のものをあなたのものにするには、あなたの代金と私のものを交換しなければなりません。交換した後は、今度はそれ--が何であれ--はあなたのもので、私の手元からはなくなります。

叡智には、こういった排他性はありません。私がE = mc2を知っても、アインシュタインがそれを知らなくなるということは起こりようがないのです。自分が持っている叡智を他人に与えても、あなたの叡智は少しも減らないのです。

こういったものに値段をつけてしまうと、お金にお金としての意味がなくなってしまいます。

だから叡智はゼロ円ということにしておかなければならないのです。
----------


まず、「群集の」はほっといて、叡智の値段を語られていますが、これは、話が飛躍しすぎだと思います。
弾さんのおっしゃっているものは、経済学で言うところの「外部経済」に当たります。例えば、隣の家の芝生がすばらしい、それを自分も楽しめる、だけど自分はそれに一円も払わないですむ。
こういう排他性のない財は、公共財と呼ばれていまして、市場の失敗の典型例です。
こうした財を市場経済に任せておいたら、ただ乗りがおこって、充分な供給がなされない。
こうした財の供給を充分に行うためには、市場に介入する必要があります(もしくは当事者どうしの交渉)。
それを、排他性がない=ゼロ円、というのは、ますます供給過少を引き起こしかねません。

なので、排他性をゼロ円の根拠にするのはまずいです。

ただ、弾さんのおっしゃるとおり、「所有権」が設定できるか、というのはキーポイントな気がします。
(排他性がなくても所有権のあるものは、例えば先述の芝生)
叡智は、価値を生み出すのに不可欠な要素です。しかし、残念ながら所有権が設定しにくい。どこからが誰のアイデアか分からないからです。
アインシュタインのE = mc2にしたって、アインシュタインよりも先人たちの貢献がゼロか、と言われるとそうじゃないと思います。
じゃあ、アインシュタインに無料でアイデアを出せ、と言えるか?
少なくとも、付加した部分については、何らかの配分があってしかるべきでは?


結局、その都度、貢献度に応じて何らかの妥協点を探らなければならない、というのが現在の落とし処なんでしょう。
(何%ぐらいはあげてもいいんじゃないの?みたいな)

そうしないと、アイデア自体の供給過少になってしまいます。例えば、「この会社がこういうことすれば、もっと価値が生める」「ここと手を組んでこういう事業すれば」というアイデアを持っていたとしても、なかなか売り込みに行けないでしょう。現状だって、売り込みに言った時点で、「いやーそれには気づいてましたよ」と言われたら、それまでです。まあここまでは、「証拠」で解決できるとしても、黙ってそれを実現されたらどうするんでしょうね?泣き寝入りしかないのか?(このあたり、現在の法ではどうなっているんでしょう?)
現状だってそうなのに、「いやアイデアそのものはゼロ円ですから」で納得できるんですかね?「そのアイデアはみんなのものです」と。

決して、「根源的には叡智の価格は0円」ではないと思います。価格にひき直す納得性の高い仕組みが作られていないだけです。
(個人的には、アイデアを過剰に保護するのもいかがと思っていますので、付言しておきます。)


これが、オープンソースになると余計話がややこしくなる。
根源的には、貢献度に応じて付加価値配分なんでしょうが、ただでさえ貢献度の落としどころがアイデアの場合難しいのに、「群集」なもんだから・・・。
今は「いい人」たちに甘えているのが現状であって、ここを解決しないと、結局、参加したモン負けか、貢献度の測定コストがでかくなりすぎて、やっぱオープンソース使えねー、って風潮になりそうで怖いです。



再び引用。
----------
具現化力は、「群れる」ほど強くなる
----------


これには激しく納得です。
叡智は群れないほど強くなるので、このバランスが難しいですね。
posted by nao at 15:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月19日

藤巻健史さんのセミナー

友人の紹介で(Kちゃんありがとう!)、藤巻健史さん(サイトはこちら)のセミナーに参加してきました。

ご自身のポジションを開示された上での話で、非常にフェアな方だなと思いました。
以前、藤巻さんのトレーダー生活を面白く綴った本を読んだことがあったのですが(すみません、どの本か忘れましたのでAmazonでの紹介が出来ません。たぶん、FAX通信「プロパガンダ」を元にした本だと思います下にリンク貼りました、たぶんこれです)、その印象に違わず、楽しい人で話も上手く、また宣伝上手(笑)。いや、笑い事ではなく、個人で事業をやるには非常に重要なことです。

セミナーの内容については、
○サブプライムローン問題は日本への影響軽微。
○流動性過剰なので、インフレにならずとも資産インフレになる可能性が高い。
○日本政府は、政府債務過多なので、インフレ政策のインセンティブが強い。
○よって、株と土地にポジションを持つ。

という、至極まっとうなご意見。ただ、気になったのは、議論の大前提とされていた、サブプライム・ローン問題は「日本から遠いところの話」、という点。
2つの点で、疑問が残ります。
一つは、サブプライム・ローンを組み込んで証券化した債券は、日本の金融機関も買っておりますので「遠いところの話」と片付けてもいいのか、という点。しかも、それがどれだけ傷付いているか不明なのだから、たちが悪い。もう一つは、米国の住宅問題はサブプライムだけじゃない、ホームエクイティーローンなどで過剰消費につながっていた可能性もあるという点。そうなると、住宅価格下落の米国実体経済への影響は、むしろこれからかもしれません。
金融業界向けのセミナーではなかったので、説明を省いただけかもしれませんが、これが議論の前提だったので、なぜサブプライムローンの影響が軽微だと思うのか、もう少し丁寧な説明が欲しいなと思いました。

では、日本株は売りか、というと、個人的にはそうでもないと思います。基本的に日銀は利上げしづらくなりました。金融機関や米国経済に依存する業態はリスクが高いですが、米国へのプレゼンスが小さく、逆に新興成長市場でのプレゼンスの大きい企業を選んで、この問題で連れ安したら買い、という姿勢でいいのではないかと思います。
不動産にしても、地方の中心地域はまだいけるのではないかと思っています。
トリクルダウン効果はこれからだろうし、かつ、政策的にも、地方での中心地集中を進める気がしますので(財政切り詰めのため)。
あ、投資は自己責任でお願いしますね。(笑)


藤巻さんの、エコノミストやアナリストへの批判については、真摯に受け止める必要もありますが、少しアジテーションが過ぎるかな、とも思いました。
(僕が元エコノミストで元アナリストだからというわけでは全くないですよ。)
主な批判点は、
@ポジションとって勝負しないで言いたいことを言う
Aグラフでの視覚効果(スケールを変えてあたかも変化したかのように見せかける)や基準年の取り方
の2点だったかと思います。

@については、全く批判に当たらないと思います。なぜなら、勝負しないのではなくて、職業的に勝負してはいけないのです。彼らはなるべく客観的な分析を提供することが仕事ですので、個人の資産でさえ運用に大幅な制限が設けられていますし、それが当然だと思います。逆にエコノミストやアナリストから言えば、トレーダーはポジションとっているから、自分のポジションに有利な見方しか公表しない、とも言えるわけで、そうなると、お互いに職業自体の否定になってしまいます。エコノミスト・アナリストは勝負しないことが仕事上必要だし、トレーダーは勝負することが仕事、というだけの話だと思います。
ただ、エコノミストやアナリストが過去言ったことに対しての検証はもっと必要だと思います。ポジションで勝負しない代わりに分析能力で仕事しているわけですから、分析に対しての責任はもっと明確にしていいと思います。

Aについては、こういう人が一部いて、生きながらえているのも事実です。しかし、グラフのスケールと言ったって、数字が統計上有意かどうかは視覚の問題ではないです。基準年にしたって、なぜそこを基準にするのかというロジカルな説明ができなければいけないわけです。
過去の僕の記事を見ていただければお分かりだと思いますが、こういう自称専門家は排除されて然るべきだと僕も思っていますが、言い方を変えれば、こうした輩に騙されてしまう側の問題でもあると思います。受け取る側が学ばないと排除できないのです。
政治家を選んでいる有権者が、「政治家が悪い」と言ったってしょうがないのと同じです。
僕がこのブログを書いている理由の一つは、こうした人たちに騙されないで欲しい、という思いもあってのことです。

というわけで、僭越ながら感想を書かせていただきました。


posted by nao at 18:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月17日

田中先生のコメント

以前、僕が書いた「日銀の、いや中央銀行といふものによる金融政策といふもののミッションは何か、をまず議論するべき」について、田中秀臣先生のブログでコメントをいただいておりますので、ここに載せておきます。

(ちなみに、「サブプライム・ローン問題の本質は『不動産バブルの放置』と『証券化商品のリスク・リターンの不認識』にある」も関連記事なのでご参照を。)

tanakahidetomi 『中央銀行のミッションを中央銀行の目的関数の構成要素として理解するならば、物価安定と経済成長の達成この両方(米国)もしくは物価安定だけ(ECBなど)とするのが広汎に認められているところで、資産価格の安定、為替レート、国際的な取引などの水準を目的にすることは現代の中央銀行のミッションとしての合意にはなっていませんよね(その意味するところを考えたいと僕は思いますよ)。また理論的な分析でもこれらの資産価格の上昇率や水準を中央銀行の目的関数に入れることにはほぼ共通した反論・回避の提案が存在しています。資産価格の水準自体をミッションにすべきではない、ということです。
その一方で、今回のFRBやまたこのブログでも再三書いているように、資産価格の歪みが物価安定や経済成長などのミッション達成のリスク要因になれば、金融政策を実施することには現行の多くの中央銀行はためらうことはないでしょう。
したがって中央銀行の目的と手段は区別した議論が必要になるかと思います。そしてその議論の際には、各国中銀の実際とまた専門論文の参照での議論に徹するべきだと思います。

例として中央銀行のミッションの典型としてECBのものを引用
http://www.ecb.int/ecb/html/mission.en.html

さらに資産価格の上昇率などを考慮していないことをインタゲの弱点とお書きのように理解しますが、これもここ数年のインタゲ論の展開からいうと不思議な印象です。
というのは伸縮的なインタゲ(物価安定と経済成長の両方にウェイトをおくもの)と資産価格の水準ターゲットではなく、資産価格の歪みへの配慮が中銀のミッションを円滑にするという目的と手段の区別に配慮した上での論説も複数存在しているからです。

 資産価格安定をミッションとしてではなくミッションを達成するために資産価格の歪みを考慮すること、つまりは今回のFRBのような行動が採用されることが伸縮的インタゲの達成に好ましい=強みになる、という論文も存在します。
日本のブログではバーナンキ・ガトラーの論文がしばしば引用されますが、資産価格とインタゲの関係を扱った論文はまだ複数存在しています。

で、それらの主張と日本銀行の現行の政策ですが、ミッションの勝手な理解とその成果の貧しさはなにをかいわんです。』



長文のご返答、ありがとうございます。
「資産価格安定をミッションとしてではなくミッションを達成するために資産価格の歪みを考慮すること」、これは実に納得です。
確かに、ミッションを多岐にわたらせると、整合性の問題が起きますね(目的関数の数を増やしてしまうと、解決が複雑になる)。
僕の頭の中では、資産価格の歪みの放置→実体経済への影響(中銀のもうひとつのミッションたる経済成長への影響)、があったものですから、ああいう書き方になってしまいました。


PS.ただ、一つ疑問が湧いてきました。インフレターゲット論については、伸縮的な議論もあろうかと思いますが、例えば、CPI上昇率はマイナス、但し、資産価格の歪みが生じ高騰、将来的に実体経済に影響が出そうだと判断された場合は、インタゲ論からはどういう金融政策をとることになるのでしょう。ここの判断を「伸縮的に」すると、実に属人的というかアートの世界になって、結局、インタゲ論と非インタゲ論の違いがあまりなくなってしまうんじゃないかと思うのですが。
posted by nao at 14:50| Comment(0) | TrackBack(1) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月05日

インド関連本2冊

門倉貴史「インド経済の実力」
インド経済の現状を、データ、図表で整理した本。



榊原英資・吉越哲雄「インド 巨大市場を読み解く」
最近のインドの飛躍を、より長い歴史の中でのインドの「復活」という視点で紹介。



以下、2冊についてのメモ書き。
○アンガス・マディソンによる試算によると(「世界経済の成長史1820-1992年」)、1820年時点の国別世界GDPシェアは、中国が28.7%、インドが16.0%。欧米各国は軒並み一ケタ台前半(英、仏がかろうじて5%を超えていた程度)。日本は3.1%。中国、インドが世界経済の中心だったのは、18-19世紀に突然起こったのではなく、四大文明の時代からほぼ連続。欧米の帝国主義的拡張で、清王朝とムガール帝国が滅亡、2地域が急速に没落していった19世紀中頃〜20世紀が、むしろ例外の時期。
→データとして出されると説得力あるなぁ、今の西欧偏重の世界史観が随分な作り話であることが。

○川勝平太によると、産業革命の遠因はインド木綿。
三角貿易が、インドと香料諸島(現在のインドネシア)と欧州の間で、インド木綿、コショウ・香辛料、銀の交換として行われていた。三角貿易の西方拠点は、中東→ヴェニス経由、からリスボン→アントワープ経由、17世紀には、アムステルダム、ロンドンへと移っていくことになるが、三角貿易の構造自体は長期安定。17世紀後半に、イギリスがオランダとの覇権争いに敗れ、香料諸島への足がかりを失いインドに撤退したことがきっかけで、この構造が崩れる。インド木綿が直接イギリス本国へ。それまで皮革・毛織物中心だったイギリス及び欧州の繊維産業は大打撃。イギリスはインド木綿の輸入禁止、国内での模倣製造を奨励(最初はみんなコピーなのだな)、18世紀後半に自国産キャラコを製造、相前後してハーグリーブスのジェニー紡績機、アークライトの水力紡績機が実用化され、産業革命が始動。

○インドの成長可能性の根拠は人口構成。中国に比べて、若年層人口が豊富。労働力の供給過剰具合も大きい。一方で、中国のようにトップダウンで一気に、というわけにはいかないかも。

○インドは、従来の、農業→製造業→サービス業、という成長も出るとは違い、農業→サービス業、と、製造業の発展を飛び越えている。ITによるBPOが顕著。医薬も有望。自動車製造の歴史は意外に古い。インド政府は、労働力の吸収源として製造業の発展を望んでいる。
→製造業の発展、必ずしも必要?

○インドで製造業や建設関連が出遅れているわけは、@インフラ整備が遅れていること A物を作る=低カーストの仕事だったこと。タージ=マハルの設計・建築もペルシャ人やアラブ人、欧州の職人によるもの。
→モータライゼーションには意外と時間がかかる?逆に、インフラ関連はまだまだウハウハってことか。

○美白市場が拡大する可能性大。紀元前1500年頃、アーリア人が中央アジア方面から侵入、インダス文明を滅ぼしてドラヴィダ人を支配。以後、北西部のアーリア人が支配階級。カーストの起源もこのときから。ヨーロッパ系と起源を同じくするコーカソイドのアーリア人のほうが色白であり、現在でも色白志向がある。求婚広告には、現在でも色白かどうかが記載されるほど。
→肌の色で身分を判断するモラルについてはアレとして、美肌商品を売っている化粧品会社にはでかい市場ですな。ブームというわけでもなさそうですし。

○インドの政治が民主政治であり、法治国家であるがゆえ、人治国家で一党独裁の中国に比べて政治リスクが低い、という通説は疑わしい。汚職・腐敗の度合いは、同じようなもの(Transparency Internationalによる腐敗・汚職指数ランキングによると、2005年調べでは中国が78位、インドが88位)。

○テマセクのインド傾斜。
→ま、抜け目ないテマセクのことですから、当たり前っちゃ当たり前。日本の投資主体にもこういう抜け目なさ必要ですねー。政府が主体になる必要はないですが。

○韓国企業の躍進。自動車でのヒュンダイ、家電でのLG、サムスン、と、インドでの韓国企業のプレゼンスはでかい。比べて、日本は全体としてのシェアは大きいものの、個々のブランドの存在感は薄い。


僕は、今から10年ちょっと前に、インドを3週間ほど一人で放浪したことがある。デリーから入り、アグラー、ヴァラナシ、カルカッタ(現コルカタ)とバックパック一つでふらふらして帰ってきた。それこそネタは尽きないおもしろい旅だったのだが、当時から随分変わったのだろうか。
成長ポテンシャルは間違いないだろうが、あの独特のカルチャーはそのまま残って欲しいと思う。欧米化され過ぎた日本の発展を考えると余計に。
Diversity is healthy.
ラベル:インド 経済
posted by nao at 02:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月25日

サブプライム・ローン問題の本質は「不動産バブルの放置」と「証券化商品のリスク・リターンの不認識」にある

佐藤秀さんに僕の先日のエントリを取り上げていただいています。

「日銀の、いや中央銀行といふものによる金融政策といふもののミッションは何か、をまず議論するべき」:日銀低金利政策が、円キャリーを通じて米国に・・と言いますが、米国の住宅問題は、FRBがもっと引き締めておくべきだったと思います。

という僕の意見に対して、

サブプライム最大被害は欧州系銀行のワケ
皮肉なことだが、FRBがもっと引き締めておいたら、サブプライムローンの焦げ付きはもっと拡大していたろうと思われるところに根深い問題がある。
(中略)
サブプライムローン焦げ付きの最大の被害者は欧州系の銀行だ。圧倒的なユーロ高、ポンド高を背景にほとんど無利子同然の日本から借金して債券化されたサブプライムローンに投資しまくった結果だろう。利払いの心配はないから思い切りリスク投資できる。
もし、FFが欧州並みにその後も利上げしていたらどうか。サブプライムローンの潜在不良債権はもっと大きくなっていたろう。不良債権が大きくなっても、日本と欧米の金利差は広がる一方だからますます旨みの出る円キャリー取引で化粧され、焦げ付きは表面化しにくい。多少損失が出ても安くなった円による負債は逆に利益になり損失を下支えしていたからだ。しかし、下支えできた分、焦げ付きが膨大になった。
(後略)


うーん、それはどうでしょう・・もちろん、FRBの利上げが遅きに失したら、当然、不良債権は拡大しますが。
FRBが不動産価格上昇を放置せずにいたら、そもそもCDO等を作る元となるサブプライム向けローン自体がこれほど増えなかったと思います(というか、増えないように金融政策をとるべき)。
サブプライム向けローンの担保が、上昇し続ける不動産価格だったわけで、その前提を退治していれば、劣化した証券化債券がこれほど出回ることもなかったはずです。
そうであれば、ユーロ高円安、ドル高円安だったとしても、(欧州銀行が多く購入した)劣化した米国発の証券化商品がそもそも多く出回ってないのですから、不良債権が今より大きいはずがありません。
というわけで、米国のサブプライムローン発の不良債権が、FRBが金利をもっと引き締めていたら余計増えた、という結論は、疑問が残ります。
もちろん、円キャリーによって他でバブルが発生した可能性は否定しませんが。

ただ、その円キャリーについても、金利差で為替を全部説明するのは疑問が残ります。
確かに、金利差が為替変動の圧力になることは間違いないです。
ただ、実際に利くかどうかは、時と場合によります。
FRBが利上げして、日米金利差が拡がったとしても、それ以上に米国経済が減速すれば、それはいずれドル安円高圧力になります。
FRBがもっと早い段階で利上げしていれば、米国の住宅バブル抑制、サブプライム・ローン抑制、米国の過剰消費も抑制、経常赤字も抑制、ってことで、調整を小幅に済ませることも出来たでしょう。
(もちろん、上げ過ぎとか遅すぎ、は他の不良債権の原因になりますが)
住宅価格上昇の継続を前提としたホームエクイティ・ローンで車を買う、ってのはやはり過剰消費以外のなにものでもなく、経常赤字拡大も相まって、現在のドル不安につながっているのは、否定できないと思います。

欧州と日本の金利差による円キャリーはあるでしょうから、米国住宅ローン証券化商品以外でのバブルが発生したかもしれませんが。

先般書きましたように、世界的過剰流動性の責任の一端が日銀にある、というのは、僕も全く同意です。
しかし、今回のサブプライム・ローン問題の本質は、日銀超低金利による円キャリーという裁定行為にあったというよりは、やはり、ありえない前提でローンを組み、しかもそれを証券化した債券を購入する際にリスク・リターンをきちんと把握しなかった(このあたりは、ぐっちーさんに詳しい)、ということにあるわけですので。
サブプライム問題の原因が円キャリーにある、というのは問題の本質を見誤ると思います。

裁定機会があるというのは、逆に健全かもしれませんよ。
なぜなら・・・


再び、佐藤秀さんの引用
私は主要中央銀行を束ねる国際中央銀行連合のようなものが必要な時代になってきたと思っている。とても「協調」程度では済まないのが現実だろう。


これは僕も考えました。
が、これは世界の景気サイクルの収斂度合いによる、と思いましたので、現在のところは「協調」に止めて置きました。

逆に、世界経済があまりに収斂しすぎると、閉鎖経済に近い形になり、海外経済というバッファーが小さくなって、世界的な景気の変動がでかくなるんじゃないか、という懸念を持っています(現実は、そっちに近づいている気がします)。
景気サイクルが違ったり、金利差があるほうが、まだましなのかもしれません。
posted by nao at 13:35| Comment(0) | TrackBack(2) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。