2017年05月20日

ぜひ折茂武彦という事業家を知ってほしいのです

彼は、選手兼球団社長ですが、皆の想像する「お飾り社長」とは全く違います。
経営の立ち行かなくなった球団を、自らオーナーとなり金を出し身を削り、新しい球団として立ち上げ直しています。球団立ち上げ、事業立ち上げのリアルがここにあります。

彼は、僕らの世代のバスケプレーヤーのヒーローでした。佐古や長谷川、節政や北、あの辺りの世代です(知ってる人しか知らないw)。紛れもなく日本一のシューターでした。
それが、今もなおプレーヤーとして多くのファンの期待に応え、なおかつ別の面でも、心の熱くなる生き方をしているヒーローなのです。

願わくば、オーナーとして、優秀な経営者を連れてきて経営を上向かせ、彼自身には長く、あの、一瞬時が止まるような、そして次の刹那、味方の歓喜と敵の落胆をもたらす、美しいシュートを打ち続けて欲しいのです。

https://news.yahoo.co.jp/feature/591

2006年08月04日

株式投資講座H DCFモデルvol5 事業価値と企業価値の整理

前回、キャッシュフローと割引率の説明を今後していきます、と予告しましたが、その前に整理しておきたいことが。

現在、事業価値の求め方をDCFモデルという形で学んでいます。
最終的には、理論株価をどのように求めるか(求めた理論株価と現在の株価を比べて割安割高を判断する)、というのが、この「株式投資講座」の狙いです。

なので、事業価値と理論株価の関係を、ここで整理しておきます。
目的を先に明確にしておくことは、現状やっていることの理解に役立つと思います。



事業価値は、その名のとおり、事業の価値です。(笑)
で、企業は、事業以外にも資産を持っている場合があります。
典型例は、事業に使っていない現金等ですね。

つまり、企業価値は、事業価値に非事業用資産(価値)を足したものになります。

こう考えると理解しやすいかもしれないですね。
同じ価値を持つ事業をしている企業が2つあったとして、一つはその他に現金を持っている、一つは現金を持っていない、だとしたら、現金を持っている企業のほうが全体の価値は大きい、と。

ということで、

企業価値 = 事業価値 + 非事業用資産(価値)

です。



さて、この企業価値は誰に帰属するのかといえば、最終的には、債権者と株主です。
なぜなら、この人たちが、もともとのお金の出し手だからです。

債権者に帰属する価値といえば、負債ですね。

よって、株主に帰属する株式価値(株主価値とも言う)は、

株式価値 = 企業価値 − 負債


ということになります。


さて、最初にDCFで求める事業価値は、あくまで我々の「予想」キャッシュフローの割引現在価値でしたので、言ってみれば、われわれが勝手に考える「理論」事業価値なわけです。
つまり、それに基づいて、もとめた企業価値も、もちろん「理論」企業価値。
そこから負債を引いて求めた株主価値も、われわれが想定する「理論」株主価値です。

株価というものは、一株当たりの株式の値段ですから、この「理論」株主価値を、株式数で割ったものが、われわれの想定する「理論」株価、ということになるわけです。
(本当は、「理論」なんていう大それた名前を付けずに、「想定」株価とか、「妥当」だと考える株価とか、そういう名前のほうが実態を表しますが、慣例上、理論株価という名前になっています。)


理論株価 = 理論株主価値 / 発行済株式数


以上を、視覚的に分かりやすくしたのが、以下の図です。


corporateValue.png
クリックで拡大


株式市場で付けられている実際の株価が、自分が妥当だと考える「理論株価」よりも低い場合、この銘柄は「安い」と判断して、買えばいいわけです。

2006年07月25日

株式投資講座G DCFモデルvol4 計算方法のまとめ

「株式投資講座」シリーズ、久しぶりのアップデートになります。


さて、事業価値の話。
しつこいようですが、定義。
「事業の価値は、その事業で将来儲けるキャッシュを全部足し合わせたもの、になります。但し、今の100円と将来の100円の価値は違うので、足し合わせるのにちょっと工夫が必要です。それが、現在価値に割り引く、ということです。」

割引現在価値はもう理解されてますね?
実際の計算方法はもう理解されてますね?
理解されてないかたは、前回までの話をもう一度見てみてください。


これまでの話を視覚的に理解できるように図でまとめてみますと、


DCFchart.png
クリックすると拡大


ということです。(CFはキャッシュフロー。^nはn乗する、ということ。)



これ、実は、単純な数式で表せます。
(数式で書いたほうが分かりやすい人もいると思いますので)

事業価値 =  煤@各年のキャッシュフロー/(1+割引率)^n 

これだけ。

煤iシグマ)とは「全部足す」という意味。
上の式を言葉で表せば、
「 キャッシュフロー/(1+割引率)^年数  の値を、事業が続く年数分、全部足す」ってことですね。
やることは前回までの計算ですので、なんら難しいことはないですよね。

まさに、定義、
「事業の価値は、その事業で将来儲けるキャッシュを全部足し合わせたもの、になります。但し、今の100円と将来の100円の価値は違うので、足し合わせるのにちょっと工夫が必要です。それが、現在価値に割り引く、ということです。」
そのものですよね。


ちなみに、事業が永遠に続く場合、そして、キャッシュフローが毎年同率だけ成長する場合、上の式は、

事業価値 = 1年目のキャッシュフロー / (割引率 − キャッシュフロー成長率)

という実に実に簡単な式に変貌します。
(これは、等比級数の公式を使えば簡単に出てきますが、ここでの説明は割愛します。
気が向いたら、証明してみます。)

例えば、1年目に5億円のキャッシュを生む事業があり、毎年1%ずつ稼げるキャッシュが増えていくとします。この事業が永続するとして、事業の割引率が10%なら、この事業の価値はいくらでしょう。

5 /(0.1 − 0.01)= 55.6億円 

なんと簡単な。


というわけで、ここまではイメージを掴むために、実際の計算ありきで説明してきました。
さて、お気づきだと思いますが、じゃあキャッシュフローって何?割引率って何?という説明を全くしていません。

次回以降、分子にくるキャッシュフロー、分母にくる割引率について、説明していきたいと思います。


先にちょっとだけヒント。

式に当てはめれば明らかですが、稼ぐキャッシュフローが大きければ大きいほど事業価値は大きくなります。
ま、当たり前ですね。

これまた式に当てはめれば明らかですが、割引率が大きければ大きいほど、事業価値は小さくなります。
もう一度言うと、割引率が大きいほど、事業価値は小さくなります。
この割引率は、実は事業のリスクを表します。
リスクが大きい事業ほど、その価値が小さくなる。
イメージ沸きますよね?

詳細は、次回以降で。

2006年06月29日

株式投資講座G DCFモデルvol3 実際に事業価値を計算してみる

さて、DCFモデルの続きに戻ります。

で、まずは、実際に事業価値を計算してみます。
そのほうが理解が早い。

今、来年から3年間だけ、毎年10億円キャッシュを稼げる事業があるとします。
割引率が10%とすると、この事業の価値はいくらになりますか?
前々回、前回で覚えた「現在価値に割り引く」ということを使って、定義にそのまま当てはめてみてください。
(割引率をどう考えるかの詳細はまた書きます。ここではDCFの計算の仕方を先に説明したいので、とりあえず、割引率10%をそのまま使ってください。)

DCFモデルの最初の定義は、
「事業の価値は、その事業で将来儲けるキャッシュを全部足し合わせたもの、になります。但し、今の100円と将来の100円の価値は違うので、足し合わせるのにちょっと工夫が必要です。それが、現在価値に割り引く、ということです。」
でした。


1年目に稼ぐ10億円の現在価値は、
10 / 1.1 

2年目に稼ぐ10億円の現在価値は、
10 / 1.1^2 

3年目に稼ぐ10億円の現在価値は、
10 / 1.1^3 

つまり、この事業の事業価値は、この3つの現在価値の合計ですから、
10/1.1 + 10/1.1^2 + 10/1.1^3 = 約25 億円

ということになります。

だからどうしたって?
いやいや、これがものすごく使えるんです。


あなたが経営者の場合。
このプロジェクトを実行するのに、初期投資として28億円必要だったとします。
あなたが経営者なら、このプロジェクトを実行しますか?

初期投資が28億円で、この事業の現在価値が25億円なら、正味の事業価値は、マイナス3億円になりますね。
だから、この事業はやらないほうがいい。
毎年10億円、3年間稼げるんだけど、この事業はやらないほうがいいんです。
いくら面白い企画だろうが、やらないほうがいいんです。

あるいは、初期投資が20億円で済むなら、
正味の事業価値は、
25億円 − 20億円 = 5億円  
のプラスです。
だから、この場合はこのプロジェクトを実行するべきなんです。

このように事業価値を算定することで、ある程度客観的に投資の意思決定を行なうことができます。


あなたが投資家の場合。
仮に、この事業だけをやる会社があって、4年以降は稼ぎがないと予想されるとします(初期投資は20億円必要)
話を単純にするため、無借金経営で、現金も持ってないとします
(この場合、事業価値=企業価値=株主価値になります)。
この会社の株式が市場で120円(発行済株式数500万株)で取引されていたとして、この銘柄は買いですか?

この場合、
5億円 / 500万株 = 100円

が適正な株価水準ということになりますので、120円という市場価格は割高ですね。当然、買わないほうがいいでしょう。

このように、DCFモデルできちんと価値算定することで、株式投資の際の明確な基準を自分の中で持つことが出来るようになります。

2006年06月26日

株式投資講座F 日常的なのに気づかれない「割引現在価値」

DCFモデルの話の続きをする前に、もう少し「割引現在価値」について書いて見ます。

前回の説明でお分かりかと思いますが、「割引現在価値」と「複利利回り」は逆の関係にあります。無リスク商品の利回りがあるので、現在の100円はリスクなしで年々増えていく。逆に言えば、将来の100円は現在の100円の価値はない。
こうしたお金の価値の仕組みは、日常生活でも実に重要です。
しかし、この基本的なことを、実は理解している人が少ない。

例えば、保険商品で、「10年後100万円キャッシュバック!」なんて謳い文句があります。しかし、10年後の100万円は今の100万円ほどの価値はない、ってことは、すでにお分かりですよね。
仮に、10年物国債の利回りが2%なら、10年後の100万円の現在価値は82万円しかありません。
そういう意識を持って、この保険商品を購入している人がどれだけいるでしょうか。
(これ特定商品に対する批判ではありません。あくまで理解のための例です。)


さらに、この話にはもっと別の面があります。
この100万円は10年後あなたに支払われるべきものなので、言ってみれば、あなたから保険会社への貸付け、保険会社からすればあなたから82万円を年利2%で借りているのと同じことです。
保険会社は、この借りている82万円を、2%を上回る利回りで運用できれば、その利ざやを稼ぐことが出来ます。
例えば、年率5%の利回りで運用できたとすると、82万円は10年後に134万円になっている。
( 82×(1.05^10)=134 ですね。)

つまり、保険会社はあなたからの借金で、10年間で52万円利ざやを稼ぐことが出来る。
あなたのような顧客を何万人も抱えることが出来たら・・・

これが、保険会社が「10年後100万円キャッシュバック!」でやっていること。
今82万円キャッシュバックできるところを、そうせずにあなたから借りておくことで、利ざやを稼ごうとしているわけです。
当然、あなたが82万円を運用する機会は失われます。
保険会社がその機会を持つわけです。
(何度もいいますが、これ保険会社の批判ではありません。保険は保険として必要な商品です。)


というように、現在価値や複利利回りの考え方は、実に日常的であるにもかかわらず、理解していない人が多数、という代物です。
理解していない人は、理解してそれを利用するプロの商売のネタになります。
これ世の常ですね。
誰か言ってませんでしたっけ、
「専門家とは情報の非対称性を利用して稼ぐ者である。」

2006年06月23日

株式投資講座F DCFモデルvol2 「現在価値に割り引く」

さて、では「割り引く」とは?

今の100円と将来の100円は価値が違います。
もっと極端な例を出せば、20年前の1万円と今の1万円では、今の1万円のほうが価値が低い、というのは直感的にお分かりいただけると思います。

ミソは、金利。
国債などは無リスク資産と呼ばれます。国が破産しない限り、必ず毎年クーポンが支払われ、年限の最後には元本が戻ってくるからです。
(ホントに無リスクかは議論の分かれるところですが。)

今、1年物国債の金利が1%だったとします。
今、100円をこの1年物国債に投資したとすると、来年には101円になります。

100円 × (1+0.01) = 101円

これ、小学生でも分かる計算ね。

リスクがゼロで、今の100円は来年101円になります。
つまり、100円はほっとけば来年101円になるわけです。リスクゼロで。
ということは、今の100円と来年の101円は同じ価値ってことです。
(銀行預金でイメージしてもらえば、もっと身近かな。銀行預金は厳密にリスクゼロじゃないけど。)

逆に言うと、来年の101円は、今年の価値に換算すると、100円分の価値しかないということ。
この、「今年初めの価値に換算すると」、ということが、まさに「現在価値に割り引く」ということなのです。

先の式を変形すると、

100円 = 101円 / (1+0.01)

この式が、「1年後の101円の割引現在価値は100円です」、ということを意味しています。


2年の場合。
2年物国債の利回り(1年間の金利)が1%だったとします。

今の100円は2年後いくらになりますか?

100円 × (1+0.01) × (1+0.01) = 102.01円

ですね。

つまり、2年後の102.01円を現在の価値に割り引くと、

102.01円 / (1.01)^2 = 100円
(^2は2乗という意味)

で、100円ということになります。


では、応用問題。
年率利回り2%とします。
10年後の100円は、今のいくらと等しいですか?

100円 / (1.02)^10 = 82.03円
(これ、エクセルで簡単に計算できますね。分からない方、隣の人に聞いてみてください。)

10年後の100円は、現在の82.03円の価値しかありません。
つまり、10年後100円の割引現在価値は、82.03円です。

これが「現在価値に割り引く」という考え方です。

2006年06月21日

株式投資講座E DCFモデルvol.1 「定義」

さて、DCFモデル。
Discounted Cash Flow modelの略。
文字通り、「資産価値は、その資産が生み出す将来のキャッシュを現在価値に割り引いたものの合計である」との考え方です。
これは、事業価値に限らず、債券価格の算出、不動産価格の算出など、おおよそキャッシュを生み出す資産の価値算定には全て使えるモデルです。
いや、モデルというよりほとんど定義に近い。

わかりやすく言えば、
「事業の価値は、その事業で将来儲けるキャッシュを全部足し合わせたもの、になります。但し、今の100円と将来の100円の価値は違うので、足し合わせるのにちょっと工夫が必要です。それが、現在価値に割り引く、ということです。」

資産価格の算定は全部一緒。
「債券の価値は、その債券で将来儲けるキャッシュを全部足し合わせたもの、になります。但し、今の100円と将来の100円の価値は違うので、足し合わせるのにちょっと工夫が必要です。それが、現在価値に割り引く、ということです。」

「不動産の価値は、その不動産で将来儲けるキャッシュを全部足し合わせたもの、になります。但し、今の100円と将来の100円の価値は違うので、足し合わせるのにちょっと工夫が必要です。それが、現在価値に割り引く、ということです。」

不動産の場合は、収益還元法とか言う名前で呼ばれていますが、全く同じことです。
事業価値は、その事業によるキャッシュフローを割り引くのでDCFモデルと呼んでいるだけです。

2006年06月16日

株式投資講座D 株式投資は旦那選びと心得よ

ようやく株式投資する際の投資基準、という本題に入ります。

いきなり結論。
企業価値評価の算定の仕方を身につけること。
そのためにDCFモデルの使い方を身につけること。
経営者のかたも考え方を身につけたほうがいい。
新規事業投資や追加投資を行うべきかどうかの判断にも使えます。
株式投資講座Bでも述べたように、投資家は経営者の目を、経営者は投資家の目を、です。

DCFモデル、これ、事業価値を概算する方法です。
投資家は、DCFモデルから導かれる適正株価と実際に市場でつけられている株価を比較して、割安割高を判断すればいいわけです。
経営者は、DCFモデルから導かれる事業価値と初期に必要な投資額を比べて、投資を行うべきかどうか判断すればいいわけです。


で、DCFモデルの詳細は次回に譲るとして(また先延ばしかよ!)、今回はDCFモデルのたとえ話。

女性が男性を人生の伴侶を選ぼうとするとき、判断基準の一つに「年収」ってのを挙げたりします。(もちろん女性全員がそうだというつもりはありません。話を分かりやすくするためのたとえ話です。)
でもその女性にとって、実は「現在の年収」だけでは、情報として不十分です。
だってその女性にしてみれば、ほんとにほんとに知りたいのは、現在の年収ではなく、「将来にわたってその男がどれぐらい稼ぐのか」ですよね?
そのひとつの目安として「現在の年収」があるわけです。
だって今の年収が高くても、すぐに職を失うようなやつだと困るでしょ。
だから、あくまで「自分と結婚した後の将来、どれだけ稼げそうか」を計る一つの目安として、現在の年収を知りたがる。

で、その男の魅力とか人あたりとか出世しそうかとかを吟味することで、そうした女性はその男の将来の可能性、将来どれぐらい稼ぎそうか、を探るわけです。

さらに、その男がその稼ぎをあげるのに実は裏で多大なる貸しを作ってたりしないか(その貸しはいずれ返さなきゃならない)、とか、実は危なっかしい方法で金を稼いでたりしないか(そんなときは、その男をゲットしたときに得られるものがかなりでかくないと納得できないですよね)、なんてことを、知る必要があります。

そうして、「うん、こいつはいい!」と、合格基準をクリアした上で、なおかつ、その男をゲットするのにどれだけのコストを支払っていいか(今付き合ってる男と別れなきゃいけないとか、その男がモテまくりで自分がかなりの努力を必要とするとか、むっちゃ遠距離だとか)、そのコストと天秤にかけて、それでも幸せをゲットできる!と思ったら結婚するわけです。

これ実は、株式投資をする上での企業価値評価と全く一緒。
DCFモデルを理解している人は、ご納得だと思います。

過去、現在の業績推移などをもとに、色々と吟味して将来その会社がどれぐらいの金を稼ぎそうかを予想する。
それから、その会社のリスクを考えてどれだけの割引率を適用するかを決定する。
そうして出した企業価値に対して、この会社の今の株価が割安だと判断したら、今金を払ってでも株を買って、将来のリターンを期待する。

難しく考える必要はないです。
DCFモデルは、「この男はゲットすべきか?(もしくは切るべきか?)」を判断するのと一緒です。

では次回から、DCFモデルの具体的説明に入りたいと思います。

2006年06月07日

株式投資講座C 村上氏のやり方は企業価値を向上なんかしてません

意外とあっさりだったなぁ。
何って、村上さん。
まあ、「この件だけ」を認めることによるメリットのほうが大きいと判断したんだろうけど。
潔い?とんでもない。

しかし、なんじゃ、あの会見。
ルールを侵しといて、「チャレンジャーに厳しい」はないだろう。
ルールを侵した人間をもって、「稀有な才能を潰すな」もないだろう。
ルールを侵して他の投資家を食い物にしといて、「お金儲けは悪ですか」って・・・。

モラルの欠片もない。

僕は、意味のないルールは、意味のないものとして葬ればいいと思う。
その規則の精神に照らして、意味のないルールというものも往々にしてある。
しかし、彼らの侵したルールは、市場の公正さを保つための最低限のルールで、これは厳正に守られなければならない。

というか、ルール以前の問題だな。
百歩譲って「偶然聞いちゃった」として、買い進めちゃだめでしょう。
コンプラはどうなってんでしょう。

しかし、村上氏はスケープゴートで、他にももっと・・・
どうするんでしょう、東京地検特捜部。これで幕引き?


ところで、気になるのはメディアの報道。
村上氏の功罪として、「日本の株主価値向上には貢献したが、拝金主義を広めた」なんていう総括をしたりしてます。
が、彼、株主価値向上にはちっとも貢献してませんからー!!残念!
(もう古い感じがする。「消費される」ってこういうことなんですね。)

確かに、経営者に非効率経営を放置するととんでもないことになる、という恐怖心を植えつけたという功はあったと思います。
しかし、彼らの典型的手法は、余剰キャッシュを配当で吐き出させる、というもので、これは株主価値向上にはちっとも貢献してません。

詳しくは06年6月3日付「株式投資講座B 〜経営者は投資家の目を、投資家は経営者の目を」を参照してください。

村上ファンドの投資した企業は株価が上昇したじゃないかって?
それは、「村上が投資してるぞ!」ってんで、投機家たちが群がったから、「価格」が上昇しただけであって、これ、企業価値向上とは関係ない話です。
価格が上がったところで、村上さんに売り抜けられて、結局、ババを引かされた人たち。
気の毒ですけど、自業自得です。

メディアはいいかげんなもんです。特に経済関連については。
わかってないからしょうがないんです。
しかも、メディアに登場する「専門家」の中にも、「わかってるつもり」の人が混じっています。
やはり、自分で価値算定する手法および目を持たないといけないわけです。

モノやサービスを買うときに、無意識にしろ意識的にしろ、価格と価値を比べて、買ったり買わなかったりを決めますよね?
「これは俺には高すぎる」とか、「このサービスでこの値段なら安いよね」とか、自分にとっての価値と値札に付けられている値段を比較する。
なぜ、株については、価値の算定をせずに買い物をする人が多いんでしょう?
同じことなんですがね。

では、そろそろ、企業価値算定の話に入りますか。
おい、いままで前置きかよ!長!

2006年06月03日

株式投資講座B 経営者は投資家の目を、投資家は経営者の目を

M&Aコンサルティングの村上さん、事情聴取ですか。
報道に出ないところでは、ライブドア関連でインサイダー?なんて話も出ていましたが、なんとなく、そんなことして捕まるような隙があるようには見えないんだけどなー。

彼らのこれまでの典型的やり口は、実は非常に単純。
彼のまくしたてる物言いから聞こえてくるのは、素人目には一見全うに聞こえる話。
企業価値を高めるために経営者に対して様々な提案をして、その活動を通して、株主である自分も儲かるという、一見合理的な方法をとっているかのよう。
株主の立場から、企業価値を高めて日本に貢献する、という正義感をぶっている。

しかし、その実態は、現金や不動産といった含み資産を抱えている企業に対して、「それを有効利用していない!だったら株主に還元せい!配当を増やせ!」と言って、自分はものすごい短期間、その会社の株を持っているだけなのに、その期間に企業から金を引き出そうとしているだけ。

ここで、村上さんの典型的なやり方を、簡単な数値で披露。
彼のやり方が、決して企業価値を高める行為ではないことが、一目瞭然になります。

例えば、ここに10%のリターンが得られる事業があるとする。
1000万円この事業に投資すれば、100万円のリターンが得られる。
しかし、配当という形で100万円株主に還元(企業側からするとキャッシュアウト)してしまうと、この企業は900万円しか当該事業に投下できない。
そうするとリターンは90万円しか得られない。
配当しない場合の事業のリターンに比べて、配当した場合のそれは10万円減少している。


確かに、リターンが得られる事業がない企業にとっては、株主に配当という形で還元して、株主が別のもっと高いリターンを得られる投資先に投資できる機会を与えるという点では合理的である。しかし、リターンが得られる事業をしている企業にとっては、配当は企業価値を破壊する行為である。

村上君は、超短期の間、この企業の株主ヅラして、このキャッシュアウトを掠め取る。
投資家ではなく、アービトラージャー。
非効率経営の隙を突いたさやとり。
だけど、アービトラージ(裁定取引)されるだけの非効率経営を放置しているから悪いわけで。
ちなみに、掠め取られたキャッシュは、既存株主の皆様のものであります。わかってますか?

僕の言っていることがわからない経営者の方、早いとこ僕にご一報を。
これ、基本的に未公開企業も一緒ですよ。
公開してないから大丈夫、とか考えないでくださいよ。
公開してない分、非効率が温存されるだけ。
気づいたときは、企業価値メタメタに破壊とか。


本来、経営者と投資家のリターンの出所は一緒。
その企業の商品・サービスを購入した客からの対価が、経営者にとっても投資家にとってもリターンの源泉となる。
その意味で、投資家と経営者の視線は矛盾しない。
ただ、そのリターンの配分の段階で、配当を出すのか、自社株買いをするのか、再投資に回すのか、合理的な方法を経営者側が取れていない。
だから、村上氏のようなアービトラージが可能になる。
経営者側が隙を与えている。

経営者がきちんと株主の視点を持っていれば、このような非効率を長期にわたって放置するはずがない。
が、僕の経験で言えば、経営者は投資家の視点を欠いている人が多い。
経営者は、自らの企業価値がどれほどのものかを把握し、それが市場で与えられる評価に照らして高いのか低いのか、低ければエセ投資家に付け込まれないように、きちんと市場にアナウンスする、という努力をしなければならない。

逆に、投資家も企業の経営の質を判断するために、企業経営について知らなければならない。しかし、こちらについても、今株式ブームに乗っている投資家は、その企業についてほとんど知らずに売り買いしている人がかなりいるのではないか。
企業価値に対して、経営の質が与える影響は非常に大きい。
これは、理論的に説明できることである。(これについては、別エッセイを書きます。)

経営者は投資家の視点を、投資家は経営者の視点を持たなければならない。

僕はその橋渡しができればいいと思っている。

PS.村上さんが捕まらなかったとしても、彼らのこれまでの典型的なやり方では、その対象が少なくなってくるのと、彼ら自身の運用規模の拡大で、今後も儲けていくのは限界があるだろう。だから最近、ちと違うアプローチをとってんだろうか。しかし、それがまた典型的なグリーンメーラーだよね。阪神に阪神株を買い取らせずに、阪急に買い取らせようってのが、ちと違うだけで。彼らは、価値創造に時間のかかる経営なんかするつもりはさらさらない。運用スタイルを変えるってんなら、優秀な経営者を連れてくるとかして、代わりに経営してもらうってこともありえるんだろうけど。

2006年05月08日

株式投資講座A 株式市場とギャンブルの違い

株価上昇のおかげ?で、株式投資ブームになっている(決して逆ではない。つまりほとんどが後追い)。

株式投資自体は、企業の資金調達の場として社会的に極めて重要であるが(06年4月3日付 「株式投資講座@〜株を悪者扱いするな」参照)、その社会的意義を理解した上でも、なお本質的にはギャンブルと違いはないと「誤解」している人たちは大勢見受けられる。

株とギャンブルは似て非なるものである。
簡単に言えば、プラスサムかゼロサムか。

ギャンブルの仕組みは、胴元がギャンブラーから掛け金を集め、その一部を胴元がみかじめ料として分捕り、残りを賭けに勝ったギャンブラーに分配する、というもの。
ここで重要なのは、最初に集めたお金の総額は、一円も増えることなく、最終的に胴元と勝者に配分されるということ。
この仕組みは、どんなギャンブルでも一緒である。

では株はどうか?
株式で調達したお金は、企業というシステムによって、収益を生む事業に投資される。
その事業が収益を生めば、それが配当という形で株主に還元されるか、再投資という形で将来の株主への還元資金に回される。
ここで重要なのは、株主に還元されるお金は、企業というシステムによって収益を生んだ後に、還元されるということ。
つまり、決定的にギャンブルと違うのは、最初に集めたお金が、企業という仕組みによって価値を創造され、お金が増える、という点。

ギャンブルはゼロサム、株はプラスサム。

但し、これは企業が価値を創造する時間がある長期の話。

株の売り買いを回転させる短期では、企業が価値を創造する時間が与えられないため、ゼロサムである。つまり、株の短期売買はギャンブルと一緒。短期回転売買は、株の流動性の供給(加えてギャンブルと一緒で遊戯性の供給?)という意味はあるが、長期投資の価値創造のダイナミズムに比べたら・・・、ねえ・・・。

こんなことに大事な頭脳と時間を使うのは、正直言って無駄遣い。
これはプロ向けへの提言でもある。
あなたの大事な頭脳と時間は、もっと社会的に価値のあることに使ったほうがよい。
あなたが死ぬとき、そんなことばっかりやっていた人生に後悔は残りませんか?

2006年04月03日

株式投資講座@ 株を悪者扱いするな

「株式投資講座」シリーズは、ファイナンスの知識を持ち合わせていない方、あるいは間違って理解されている方、を対象に、例を使ってなるべく分かりやすくファイナンス知識を広める、というコンセプトで一応書いております。
従って、ファイナンスのクロートさんにとっては、当たり前で簡単なことしか、書いてないと思われますので、そういうクロートさんは読む必要はないかもしれません。
他のエッセイを楽しんでください、そして自由に突っ込んでください。
(そういうクロートさんが以外とホントは理解してなかったりすることがよくあるんですが。)

本題。

人間は社会に価値を提供して、その見返りに対価を受けて生きています。
それを効率よい活動にするために企業という組織形態をとります。
企業が何かを社会に提供するには、お金が必要です。
お金の調達方法としては、大きく二通りあります。
ひとつは、借金の形態です。
もうひとつは、会社への出資者を募る形態です。

借金の代表格は銀行借り入れ。
出資の代表格は株の発行。

この二つはそれぞれに特徴があります。
銀行は預金という性格でお金を集めている以上、あまりリスクの高い事業にはお金を貸すことができません。
(ホントはそのリスクに応じて高い金利をつければいいだけの話だけど)

でも、これまでにない新しい価値を生み出す事業は、それが成功するかどうか、確証は持ててません。
つまり、社会に高い価値を生む可能性のある事業は概して、リスクが高いのです。
つまりつまり、社会に高い価値を生む可能性のある事業には、銀行からの融資ではお金が回らないということになります。

そこで、株の登場です。
リスクが高いことを認識した上で、なおかつ、「よっしゃワシがカネ出したる!」という気概のある人を募るわけです。

そういう人が何らかの事情で、「やっぱワシ、出資やめたいんやけど、誰か代わりおらへん?」といって、代わりを探すためのものが、株式市場なんです。
株式市場で株を買う人は、「よっしゃワシが代わりに出資者になってやる!」という気概のある人たちなんです。

株式投資がされないと、社会に高い価値を生む可能性はあるけどリスクも高い事業が行われることはなく、リスクが低い(そして概して生み出す価値も低い)事業しか行われなくなります。

だから株式市場は必要なんです。
社会のインフラなんです。

日本では株式投資がとても胡散臭いものとして扱われてきました。
「私は株式投資なんかしませんよ」って言葉が、まるで自らの健全性の宣言としてよく使われるほど。
でも間違わないでください。
株が胡散臭くなるのは、過去の歴史として(そしてこれからもなくなることはないと思うが)、そこに不正が付きまとうからであり、株式投資それ自体が悪者なわけではありません。
そこを一緒にしちゃいけません。

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