2008年02月04日

「The Four Principle of Enduring Success ヨーロッパ企業の興亡に学ぶグレートカンパニーの条件」Diamond Harvard Business Review 07年12月号

ちょっとお仕事関係で薦められた論文。
ビジョナリー・カンパニー」が米企業について調査した本であったのに対し、こちらはヨーロッパの優良企業を調査。
長期にわたり持続的に好業績を誇る企業の条件は、

1.既存の資源を活用する
2.事業の多角化をはかる
3.過去の過ちを忘れない
4.変革には慎重に取り組む

ということらしい

うーん、当たり前の結論をバックテストする意義は否定しないが、何を今更という感じが拭えない。

1.既存の資源を活用する
ファイナンス的に言えば、ROICを高めるということ。企業価値を創造するにはROICとWACCのスプレッドを積み上げるのだから、ROICを高めるような施策をとる、というのは当然のこと。つまり、新規の投下資本よりも、まずは既存の資源を使うってのは当たり前の当たり前。まあ、これが条件の上位に来たってことは僕の仕事が間違ってないという証拠には使えるか。(笑)
実際、経営指標で業績の差に有意に効いているものは、ROIやROEであると、彼ら自身の調査が言っている(ROEはROICの代理変数と言ってもいい)。


2.事業の多角化をはかる
よくコア事業に選択と集中、というが、そのコア事業がこけたらどうすんのか?ミクロの努力ではどうしようもないマクロの流れは厳然と存在する。
コアなのは事業そのものではなく、その企業が持っている「強み」だ。それは、企業によって違う。技術であったり、競争のないポジションにいたり、経営者であったり、生産性を高める文化であったり、業界での地位であったり、マーケティングのうまさであったり、上質な顧客であったり。
その強みを生かす別アプリケーションを用意しておくことはリスク分散として非常に大事。これによって難を逃れた企業を、僕はいくつも知っている。

かといって、闇雲に多角化してもまずい。大事なのは、他のアプリケーションにその企業の強みが活きること、そして事業ポートフォリオの相関が低い、ってこと。
あるPCメーカーの強みは、PC事業にあったのではなく、PCの部品のありかの情報と顧客情報の豊富さ(いつ何を買って、そろそろどの部品がダメになりそうな時期か)を簡素なシステムに作り上げていることにあった。例えば、これを応用すれば、彼らがとるべき道は、PC事業の深堀りよりも、家具を扱うことかもしれない。


3.過去の過ちを忘れるな
うーん、これに至っては、あまりに当たり前すぎて、コメントもない。むしろ「過去」の失敗に限っていいのか?と小一時間問い詰めたい。「他者」の失敗も忘れない必要があると思う。


4.改革には慎重であれ
これについては、因果が逆なのではないか、とさえ思う。改革に慎重だったから長期にわたって好業績だったのではなく、「好業績だったからこそ改革に積極的である必要がなかった」のでは?
青息吐息の企業に「改革は慎重に」と言って何の効果があるのだろう?
明日の資金の目処をつけなければならない人に「借入は計画的に」と言ってどうしろというのか?

とはいえ、拙速に走らないのは重要だろう。一旦手をつけた資産や強みは、そう簡単には戻らない。一旦農薬を使いまくった土地が、豊饒な農地になかなか戻らないように。

posted by nao at 13:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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