2007年10月19日

藤巻健史さんのセミナー

友人の紹介で(Kちゃんありがとう!)、藤巻健史さん(サイトはこちら)のセミナーに参加してきました。

ご自身のポジションを開示された上での話で、非常にフェアな方だなと思いました。
以前、藤巻さんのトレーダー生活を面白く綴った本を読んだことがあったのですが(すみません、どの本か忘れましたのでAmazonでの紹介が出来ません。たぶん、FAX通信「プロパガンダ」を元にした本だと思います下にリンク貼りました、たぶんこれです)、その印象に違わず、楽しい人で話も上手く、また宣伝上手(笑)。いや、笑い事ではなく、個人で事業をやるには非常に重要なことです。

セミナーの内容については、
○サブプライムローン問題は日本への影響軽微。
○流動性過剰なので、インフレにならずとも資産インフレになる可能性が高い。
○日本政府は、政府債務過多なので、インフレ政策のインセンティブが強い。
○よって、株と土地にポジションを持つ。

という、至極まっとうなご意見。ただ、気になったのは、議論の大前提とされていた、サブプライム・ローン問題は「日本から遠いところの話」、という点。
2つの点で、疑問が残ります。
一つは、サブプライム・ローンを組み込んで証券化した債券は、日本の金融機関も買っておりますので「遠いところの話」と片付けてもいいのか、という点。しかも、それがどれだけ傷付いているか不明なのだから、たちが悪い。もう一つは、米国の住宅問題はサブプライムだけじゃない、ホームエクイティーローンなどで過剰消費につながっていた可能性もあるという点。そうなると、住宅価格下落の米国実体経済への影響は、むしろこれからかもしれません。
金融業界向けのセミナーではなかったので、説明を省いただけかもしれませんが、これが議論の前提だったので、なぜサブプライムローンの影響が軽微だと思うのか、もう少し丁寧な説明が欲しいなと思いました。

では、日本株は売りか、というと、個人的にはそうでもないと思います。基本的に日銀は利上げしづらくなりました。金融機関や米国経済に依存する業態はリスクが高いですが、米国へのプレゼンスが小さく、逆に新興成長市場でのプレゼンスの大きい企業を選んで、この問題で連れ安したら買い、という姿勢でいいのではないかと思います。
不動産にしても、地方の中心地域はまだいけるのではないかと思っています。
トリクルダウン効果はこれからだろうし、かつ、政策的にも、地方での中心地集中を進める気がしますので(財政切り詰めのため)。
あ、投資は自己責任でお願いしますね。(笑)


藤巻さんの、エコノミストやアナリストへの批判については、真摯に受け止める必要もありますが、少しアジテーションが過ぎるかな、とも思いました。
(僕が元エコノミストで元アナリストだからというわけでは全くないですよ。)
主な批判点は、
@ポジションとって勝負しないで言いたいことを言う
Aグラフでの視覚効果(スケールを変えてあたかも変化したかのように見せかける)や基準年の取り方
の2点だったかと思います。

@については、全く批判に当たらないと思います。なぜなら、勝負しないのではなくて、職業的に勝負してはいけないのです。彼らはなるべく客観的な分析を提供することが仕事ですので、個人の資産でさえ運用に大幅な制限が設けられていますし、それが当然だと思います。逆にエコノミストやアナリストから言えば、トレーダーはポジションとっているから、自分のポジションに有利な見方しか公表しない、とも言えるわけで、そうなると、お互いに職業自体の否定になってしまいます。エコノミスト・アナリストは勝負しないことが仕事上必要だし、トレーダーは勝負することが仕事、というだけの話だと思います。
ただ、エコノミストやアナリストが過去言ったことに対しての検証はもっと必要だと思います。ポジションで勝負しない代わりに分析能力で仕事しているわけですから、分析に対しての責任はもっと明確にしていいと思います。

Aについては、こういう人が一部いて、生きながらえているのも事実です。しかし、グラフのスケールと言ったって、数字が統計上有意かどうかは視覚の問題ではないです。基準年にしたって、なぜそこを基準にするのかというロジカルな説明ができなければいけないわけです。
過去の僕の記事を見ていただければお分かりだと思いますが、こういう自称専門家は排除されて然るべきだと僕も思っていますが、言い方を変えれば、こうした輩に騙されてしまう側の問題でもあると思います。受け取る側が学ばないと排除できないのです。
政治家を選んでいる有権者が、「政治家が悪い」と言ったってしょうがないのと同じです。
僕がこのブログを書いている理由の一つは、こうした人たちに騙されないで欲しい、という思いもあってのことです。

というわけで、僭越ながら感想を書かせていただきました。


posted by nao at 18:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済(学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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