2010年05月28日

青山フラワーマーケットの経営

放置してましたが、やっぱり備忘っとこうというネタ。

青山フラワーマーケット。
東京在住の女性に聞くと、ほとんどの方が知っています。
社長の井上英明さんは、まだお会いしたことがないのが不思議なくらい、なにかと近い存在のかた。
そのうちお会いできるんじゃないかなー、と思っているのですが。

さておき、青フラの経営について、カンブリア宮殿や本(川島蓉子「社長とランチ―なぜこの会社は人の心を惹きつけるのか」)などで色々insightがあったのでメモ。数字のほうは見られないので、僕自身実証はできないのですが。
やや細かいですが、神は細部に宿るってことで、ひとつ。

●ビジネス・モデル
井上さんが、なぜ花屋をやろうと思ったか。
きっかけは、「花ってなんでこんなに高いの?」という疑問から。
で、調べてみると、それまでの花屋は、法人向けや冠婚葬祭向けの贈答用の高価な花(胡蝶蘭など)を用意して置いている。それらは売れないと廃棄することになる。それを見越して他の花に転嫁する、というカラクリで、花全体が高価になる。

ということは裏を返すと…
青フラのビジネス・モデルの出発点は、
贈答用を置かない→他の花を安く抑えられる!=アタックチャーンス!(児玉清風)
ということで、ちょっとした花を安価に、個人の普段使い用に、という新たな市場を開拓。
謳い文句も、Living with flowers everyday.

こういうアプローチの仕方、色々ヒントがあるんじゃないでしょうか。花屋という一見、「イノベーション」とは遠いところでも、実は革新のネタは転がっているものです。まずは、疑問を持つ、ってことですね。

ただ、いきなり爆発ヒットしたのかというと、そうではなく、実は、店舗展開するまでは行商形式を5年やったそうで。
そこで店を構えてもやっていけるだけのニーズがあることを確信して出店。
リスクとって立ち上げる前に、リスクを抑えながらしっかりニーズを確認したわけですね。

井上さん、当初、花に思い入れなかったらしいです。純粋に、商売になりそう、という動機。
でも、あるとき、パリ視察をした際、ホテルがあまりに殺風景で。
そこで、マルシェ(市場)で花を買ってきたら、部屋の雰囲気が…
あら不思議。花を置いただけで一変。
無くて初めて花の価値に気付いた、と。

それまでは、花屋を足がかりに新しい事業を!と考えていたそうですが、これがきっかけで、「俺の人生、花さか爺さんでいいか」と決め打ちし、それから花と真剣に向き合うようになった、と。

そこから、珍しい花を探し、生産者の想いも汲む、という具合に、取り組みに力が入るように。
例えば、ムーランルージュ。
種苗業者は普通は扱わないらしいですね。一つの株から出てくる色がわからないので、カタログなど作りづらいから。(これは完全に供給者論理ですね。)
井上さんは、消費者にとっては逆に、珍しいという価値になるとして、逆手に取ったわけです。


●店舗を徹底的に客目線で
青フラの特徴は、お客さま目線が徹底していること。例えば、

女性がもっとも目につく110〜120cm部分にディスプレイの力を入れる。
人通りからの見え方を考える。(色合いや旬の花など)
棚を花の種類ごとでなく色ごとにディスプレイし、花束を作るイメージをしやすくする。
Ready madeのブーケ(egグラスブーケ)で、自分で作れない人に手ごろな値段で。
男性客向けに、ダークなBOX&持ちかえる時に恥ずかしくないような包装。

などなど。

お客さまの意見をよく聞き、それによって店舗を常に改善。
井上さん自身、青フラの人材として最も大切な点は、「お客さまが感じられることをピュアに、感じられるか」とおっしゃってます。


●人を「向上心」と「自主性」と「環境」で

バイト7割で、社員は必ずバイトからとる
研修で、ブーケ作りと同時に原価計算させる。(質を落とさずに原価を抑えてこそプロ!)
美だけでなくビジネス感覚を養えるので、向上心をくすぐる、満足させる。
店舗を覆面調査、問題点の客観的な指摘、でも解決は現場に任せる。
原価率などのルールは本社が決めるが、試合運びは現場の裁量。マニュアルではやる気にならない。伸び伸びした環境こそが新しい発想を生む。

井上さん、「人の「自分を高めたい」という向上心を信頼している」とおっしゃってます。
人を大事にする、というのは、もちろん、そうしたい、という気持ちも大きいでしょうが、生産性を高める策でもあります。なぜなら、人には心があるから。このあったりまえまえのことを忘れる経営者がなぜかいる。ドラッカーが言ってましたよね、いい会社かどうかは自分の子どもを働かせたいと思える会社かどうか、って。


というわけで、結局、経営ってのは、
○ビジネスモデル(目の付けどころ)、戦略(誰に何を)、戦術(どうやって)、実行
○自分たちの顧客を把握し、そのニーズを聞き、応える
○気持ちよく生産性高く働いてもらう
○そのビジネスに合った資本政策でリスクをコントロールする

こういうことを徹底実行できるか、に尽きるわけです。

一言で言うと、
「ステークホルダーにとっていかに希少な存在になるか」
それに尽きます。

まさに「有り難い企業」、有るのが難しい企業ってことですな。


PS.ちなみに、青フラの経営を、井上さんご自身が「5つの資産」というフレームワークで説明されています。
コチラ

バリュークリエイト三富正博さんが最近書かれた「目的別7ステップ財務分析法」では、この「5つの資産」がファイナンス的に詳しく説明されています。


ラベル:経営
posted by nao at 15:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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